震災8年 復興進む帰還困難区域付近の富岡駅と浪江駅を歩く

国道6号を仙台方面に車で走らせると「帰還困難区域」と書かれた看板が次々出てきて、歩行者・バイクは一切通行不能で自動車のみ通行可能、しかも自動車もエアコン内気循環のみという厳しいエリアが存在する。周辺の商店はバリケードやガードレールで囲まれ時が止まりまるで廃墟のような状態になっているのだ。時間が止まっている街もあれば、復興が進む街もある。

今回は2020年3月までの運転再開を目指す上での象徴となる富岡駅と浪江駅に行ってみた。営業運転は再開されているが以前とはかなり規模を縮小しての再開であり、もちろん事故の影響で帰還困難区域方面への電車は動いていない。人や車の姿はまばらだ。なおこの二つの駅は許可証等必要なく誰でも自由に出入りできる(2017年4月1日に制限解除されている。浪江町役場にも確認済)
 
帰還困難区域や、それに準ずるエリアで車や人の通りがほとんど無い信号は全て点滅信号となっており、片方は黄色、片方は赤点滅が永遠に続く。青になることは一切無いのだ。(国道6号線の制限区域は黄色信号なのでほとんど高速のようなものだ)商店などが建ち並んでいた部分も全て閉店し、草木に覆われているのが現状だ。

まずは浪江駅だ。

まるで復興の象徴を表すかのように電気がついていた。通常営業時間外は電気を消すはずだが、電気を消すと襲撃されるor無人駅だからなのかもしれない。


中には時刻表を示すビジョンやパンフレット等も設置され、ここは他の駅と変わらない風景だ。手書きのメッセージはぬくもりを感じる。

駅員さんがいるのかと思ったらいなかった。この駅は日中以外は原則無人の運用で、ボタンを押すと出てくる所定の券を発行してこの駅から乗車した扱いとするらしい。電車が来ない時間にもかかわらずホームへ続く扉は閉まっていなかったので行ってみた。そうすると線路のない工事中のホームがそこにあった。(向かい側のホームを運用しているらしい)

ホームには空間線量が表示されていた。0.294マイクロシーベルトだから他の地点に比べて少し高い気はするが、仮に一日中いても問題ない数値と言えるだろう。

続いて富岡駅に行ってみた。

新規の道路工事も進みつつあり、駅舎が流失し新規で建て直したエリアだ。こちらの方がより広い意味で復興が進んでいるように見える。駅の横には小さな売店が存在する。

富岡駅の駅舎だ。こちらも日中の時間帯以外は無人運用となっている。

浪江駅と同じような設備が導入されているが、こちらの方が割と新しいというか新築なので綺麗な印象を受ける。空間線量は0.072マイクロシーベルトで他の都市とほとんど変わらないレベルだ。


線路は綺麗に整備してあり、まるで復興のシンボルと言ってもよいだろう。2,3番線ホームを運用しているようであるが、1番線ホームも枕木やレールは既に整備済みだ。


ホームの空間線量は0.075マイクロシーベルトであり、浪江の3分の1の数値だ。「次の駅へ」というポスターが掲出されているが、次の駅へ行ける日はいつ来るのだろうか。

先ほども述べたように近隣では駐車場の整備や新規道路の工事も進んでおり、空間線量が低いことを生かしてホテルも既に開業している。


富岡、浪江の地名ばかりが繰り返しメディアで報道されたので危ないと思っている人も多いかもしれないが、駅周辺の復興度合いを見るとそれほど気にしなくてもよいのかもしれない。このように駅を中心に復興が進む一方で、閉店したままの商店もたくさんある。駅が賑わうには行政の税金投入等の金銭的支援や人的支援はもちろんのこと人が集まり、定住し、商店が増えることが必要不可欠だ。本当の復興といえる日が来るまでには30年や50年など天文学的な長い月日が必要なのかもしれない。