試乗車で煽り運転 販売店の善意悪用どう防ぐ

常磐道で煽り運転があった事件で、被疑者はディーラーの試乗車(厳密には代車)で煽っていたという報道が入ってきた。被疑者はディーラーで車の修理を依頼し、その際に代車を要求。3日ほどの修理期間であったが2週間ほど返さず販売店とトラブルになっていたようだ。特に高級車販売店では軽やコンパクトカーを貸し出すわけにはいかず、入庫した車と同クラスの車でないと納得しないので代車として高級車を貸し出すことが多い。また高級車はなかなか買ってくれないので一日試乗などの制度もありこれらを悪用した可能性も高い。ディーラーの試乗車は、このように修理客への代車として使われるケースも多い。

実はこれは現在の自動車販売店の抜け穴を突いたもので、善意を悪用したものだ。関係が痛んでもよい初見の販売店に適当な車で適当な修理をでっち上げて代車をもらえば、いくら走ってもガソリン代は全部ディーラー負担で事故しても悪質でなければ修理費用を負担されることもない。レンタカーのように使った時間に応じて費用を請求されることもない。(その車にどれくらいガソリンが入っていたのか不明だが、仮に満タンだとすると500kmは優に走れる。関東から静岡まで移動していたとしてもおかしくない)被疑者が保険に入っていたのかは不明だが、保険を使うならばその場での現金持ち出し一切ゼロで同ランクかワンランク上の他人名義の車に無料で乗ることができるのだ。

「わざわざ警察が希薄になるお盆の時期を狙ったのでは」「無免許では」「悪質な運転者は高速に入れさせないようにすべき」など様々な憶測がネット上で飛び交っているが、そもそも免許がなくても車が買えてしまう今の仕組みがおかしい、試乗時に免許の提示やコピーを取らせないのが問題、複数の本人確認書類で確認すべきだという意見もある。車で来ているのだから免許を持っているのは当然、わざわざ提示は必要ないというのは理解できるが、今やそういう時代でもなくなってきている。ローンを組むのであれば当然免許の番号を控えることはあるが、現金払いなら匿名で車を買えるし免許の提示やコピーも必要ない。試乗も初見の店では営業が同席するが一度車を買えばその店では営業同席無しで乗せてくれるケースも多い。これらは販売店の善意、良心の基に行われているサービスの一環だ。
今回の件は試乗車で何の罪もない人間を殴った点で残酷な事件だ。せっかくの楽しい旅が台無しになる上に、いかなる場合であっても暴力行為は許されない。当然捜査が進むものと思われるが、自動車業界においても「高級車の一日試乗は廃止」「3点以上の同一住所を確認できる確認書類提示」「購入、修理、試乗時には免許提示を求めコピーを取る」「試乗車の旨を車体に表記」「代車を一日五千円など有料にし使用日数分を先払い」「10万などデポジットを預け交通違反や傷がなければ返却。逃げたら没収」「揉めそうな客には代車無い、修理自体断る」「所定のキロ数以上走った場合は差額支払い」「貸し出す時の燃料は100km程度の最小限にする」「ディーラーの車ではなくレンタカーを貸し出す」「修理日数以上返さない場合や他県を転々など行動が不審な場合は即警察通報の同意書を取る」など業界全体での試乗車・代車悪用対策が早急に求められるだろう。