JR東の駅ナカ個室「STATION WORK・BOOTH」使い方徹底レビュー

JR東日本が東京、新宿、立川駅において駅ナカオフィス事業「STATION WORK」を8月1日から正式に開始した。従来立川駅で実証実験が続けられていたが実証実験で得たフィードバックを基に机を広くする、空調追加、電動扉、会員登録無しでのゲスト利用等を実施して正式開始とした。今後首都圏の駅に展開を進めるという。実際に展開開始した新宿駅で利用してみたので参考にしてもらいたい。

○満空状況は?
リアルタイムの満空状況は公式サイトにも表示されるほか、現地でも確認できる。不明な点は電話で問い合わせてみよう。

○料金は?
気になる料金(税抜)は1名用が15分あたり250円、2名用が300円だが、当分の間はキャンペーン料金として1名用150円、2名用200円で利用できる。(1名か2名かは選べず場所ごとに固定だ。今回開始した場所では立川以外は全て1人用)支払いは会員ならクレジットカードor交通系、ゲストならば交通系マネーで支払う。都心はカラオケ行くにしてもワンドリンク取られるので最低でも700円はかかる、カフェにしても何か頼まなければならず500円を超え隣の視線が気になるし空調は効かないし電源はないし騒がしい店ばかりだ。「1時間1,000円で涼めて自習もできる」という感じで勉強したいだけ、涼みたいだけ、個室がいい等という用途に限れば、駅ナカ・都心の一等地で個室を借りれる需要は高校生などにも人気という。


今回は新宿駅 甲州街道改札内を利用してみた。改札内なので利用するには入場券または切符が必要だ。甲州街道改札付近に、それは小さく佇んでいた。案外なじんでいるというか存在感がない所がいい。比較的スペースに余裕があり、人通りの少ない場所を選んだものと思われる。操作は外のタッチパネルで行う。会員登録している方は会員の部分のボタンを、会員登録していない一般のゲストの場合は一般の方をタッチする。


利用時間を選択しろとあるが、今回このブースでは一つしか選べなかったので仕方ないのでこれを選ぶ。そうすると利用料金が請求されるので交通系で支払う。もちろん現金での支払いはできないので注意。ゲストは延長できないので延長したい場合はもう一度外に出て決済するしかない。


支払いが完了すると「解錠します」となり電動で扉が開く。電動なので土産物などで手が塞がっていたり重い荷物や機械等を持っていても安心だ。


中はこのようになっている。人一人座れるのがやっとのスペースで二人入るのは不可能だが、都心の一等地のカフェと考えれば標準的なスペースだろう。椅子の座り心地は標準的で身長180cmの男性でも足元にはゆとりがある。ガラスや壁はかなり分厚く防音仕様で木の葉がかすれ合う音ぐらいに軽減されている。左に見えるアルミの機械は空調であり、36度を超える気温の中でも15度の冷気が吹き出していた。このスペースにはオーバースペックなんじゃないかというぐらいの冷気で涼みに行くだけでも十分行く価値がある。途中出場は予約で無い場合のみ可能。なぜなら再度入場(解錠)するには入場した時と同じ交通系マネーが鍵として必要になるからだ。扉はオートロックなので外から開ける事はできず、中からボタンを操作して開ける。異常で開かないなどの場合は緊急連絡先に電話すると良いだろう。


モニターの上にはクラシックファンが装備されていた。(これはそんなに効き目はなく気休め程度)モニターはBENQ製 21.5インチフルHD GW2270を使用。(EIZO製なら完璧だが、映ればいいという人には十分だろう)HDMIケーブルが生えてきているのでパソコンの映像等を映し出したり、プレーヤーを持ち込めばDVD等の鑑賞も可能だ。キーボードやマウス、パソコンは無い。


飲み物はOKだが食べ物はダメという謎ルール(無人運用で食べカス掃除する人がいないから)、酒気帯びや泥酔での利用禁止、終了5分前に放送があるので時間までに退出する旨、設備が動くかどうかは保証しない旨、Wi-FiのSSID等が記載されている。個室空調は指定の温度が吹き出す仕様でかなり強力だ。下限は15度、上限は何度か確認できていないが冬も使えるのは間違いないだろう。風量は三段階で選べる。


各種設備利用方法から抜けているのが、照明のスイッチボタンだ。電源の隣にさりげなくある。電源は15Aまで利用できるタイプで、スマホ・PCの充電以外にもドライヤーなどにも利用できそうだ。


照明をつけてみた。一人で使うのであれば十分な明るさと感じた。カラオケみたいに照明の明るさが選べるとなお良しだが、つくだけありがたいというところだろう。天井にはスプリンクラーのような物がついているので火気厳禁だ。


傘立てが備え付けられているので傘はここに置こう。モニターは電源がオフになっていることが多いので、その場合は右下のボタンを押して電源を入れよう。不明な場合は連絡先に電話して聞いてみると良い。


プライバシーが保てるかという点だが、ドアは概ねぼかされているがスタッフが目視等で確認できるようにぼかしが20cm程度開いているように見えた。監視の目が必要という声もあるが、大都市で展開する以上色々な事を想定しなければいけないので全部ぼかしも検討すべきではないだろうか。


室内Wi-Fiの速度だが、アプリで下り203Mbps・上り159Mbps、グーグルの速度テストで25Mbps程度と、固定の光回線と同等程度のスピードがあるのは間違いない。LTEの枠使いすぎてギガが足りない人にも良いだろう。下手にコンビニやカフェのWi-Fiを使うよりは言うまでもなく速い。

今後の改善点
・外部、あるいは内部に防犯カメラを付ける
・潔癖症の為にアルコールスプレーやアルコールティッシュを常備
・会員登録しなくても利用できる旨を公式サイトで宣伝、料金や支払い方法を公式サイトに明示
・残り何分かを表示する液晶、または時計が欲しい(ボタン押したらあと何分か答える機能でもいい)
・電気のオンオフだけでなく光量の無段階調整を
・スマホ用のmicroHDMIやType-Cなども生やして欲しい
・ドアのボカシを増やす
・部屋の電気の場所、モニターのスイッチの場所を「各種設備利用方法」に追記

ネカフェと比較してどうかという話だが、パソコンもなければフリードリンクや漫画本などもないが、個室がいい、スマホで充電しながらWi-Fiできれば十分、YouTube見れれば十分、涼めれば十分という人にはもってこいの場所だろう。下手すればパソコンがない以外はネカフェよりも勝っている点の方が多いかもしれない。JR東としても駅構内の空きスペースを収益にできるという点で、それ単体で設備投資をペイできなくても将来的にペイできればいいみたいな自販機と似たような物なのだろう。原則無人運用で人件費はゼロであるが、利用者数が増えれば清潔に利用しない人や時間を守らない人への対応など管理コストが増えてくる可能性もある。
会員登録はJR的には「してくれればいいが、しなくてもいい」という事で、登録すれば長時間枠を押さえたりも可能だが、ゲスト利用の短時間であれば登録しなくても利用できるように改善された。クレジットカードを持っていない人や、ましてや学生は持てないからだ。とにかくこのスペースの売りは「個別空調」「電源」「高速Wi-Fi」である。ビジネスマンのみならず、自習したい中学生や高校生にもお勧めしたい場所だ。