コンビニ大量出店 ドミナントだけではない理由

コンビニといえば数歩歩けば同じマーク、反対車線に同じマークという光景が増えてきましたがなぜでしょうか。最近ローソンが純増をゼロにするという発表をしてマスコミも店舗の増加にブレーキか?という報道の中でドミナント戦略と題してチェーンの認知度向上、物流の効率が上がるなどと紹介していますが、大量出店をしてきた理由はドミナントだけではありません。実はコンビニ会計をよく見ると本部は一切のリスクを被らず店舗運営ができる仕組みになっているのです。

コンビニ会計では、売上から原価を引いた金額の50%程度を毎月上納金として本部に納めるのはもちろんですが、それ以外にも店の負担はあります。人件費や廃棄はほとんどはお店の負担とされ、本部は新店を出して最初の3日程度は本部社員を投入しますが、後はフランチャイズのオーナーさんが人を雇って運営して下さいね、私たちはもう手伝いませんからあなたたちで頑張って下さいね、と野放しにされます。日々の廃棄も15%程度は本部が負担するような契約もありますが、ほとんどはお店の負担です。すなわち人件費と廃棄という大きなお店の経費について、これらは月130万円程度と巨額ですがお店が負担しているのです。だからこそアルバイトは最低賃金で雇われ賃金を上げる余裕もないのです。

もう一点、ここが核心なのですが、新規店舗を出すと本部は内心「500万円のお買い上げありがとうございます」と思っています。新規店舗を出すと言うことは、お店に並べる商品を一斉に発注をかけなければいけません。その額は店舗の大きさによりますが300~500万円前後に上ります。本部はオーナーから発注してもらった時点でオーナーの財布から商品代金を差し引く訳でその時点で売上計上となり、その商品が店で売れたかどうかは本部にとってはどうでもいいのです。本部にとってのお客さんは店に来る客ではなくオーナーです。1割程度は本部も取っているので、そう考えると新規店舗の商品だけで50万円程度本部は儲かる計算になります。また契約によりますが什器を買い取る契約の場合は、そこにも本部のマージンが入っていて「100万円の什器の購入ありがとうございます」と思っています。オープンショーケース、ウォークイン、平形アイスケースなど本部は最先端の什器を用意していますが、これらはかなり高額な什器です。客にとって便利な什器であればあるほど、高額になります。本部は基本的に10年経てば店の建て替えを推奨してきますが、改装費にも本部マージンが含まれていると言われています。例えば新規什器への交換等で改装費に1,000万かかったとすれば100万円程度は本部が持って行っていると考えてよいでしょう。
それからお店を出すということは、商品は毎日売れるわけですからその分の補充という意味で毎日発注をしなければいけません。ほとんどの店舗では一日50万円の発注をかけます。繁盛店では100万円を超えることもあるでしょう。これらも先ほど述べたように、1割以上は本部がマージンを取っています。新規店舗を出すだけで最初にバコーンと儲かるだけでなく、その後も売上に応じた300~500万円のチャージの他、原価からも毎日ちょっとずつお小遣い程度ですが本部にお金が入る仕組みになっているのです。スーパーで70円で買えるジュースがコンビニで150円で売っているのは24時間のコストが入っているからだと唱える人がいますが、その差額はお店に入るわけではないので直接的にその議論は当てはまりません。差額は本部が持って行っているのです。
セールの時にたくさん商品が並んでいるのも「セールだから」ではなくSVがオーナーに対して大量発注を強要した結果に過ぎません。それが廃棄になっても負担するのはお店ですから大量発注、大量廃棄を繰り返すとお店の経営は悪化します。
物流効率が上がるという報道もありますが、単にトラックが回るだけであればそうですが、店が増えれば増えるほど荷物の量が増え増車が必要になります。トラックに積める量には限界がありますから一台で回れる店の数も減ります。今トラック業界も人手不足ですからやたら台数を増やすこともできません。配送は本部の下請け会社がやっていますが、新しいトラックの購入やメンテナンスも下請けに丸投げです。本当に店を増やすドミナント戦略が物流効率の向上に繋がっているかは疑問です。各駅停車より快速の方が早く着くのと同じで、店の数が少ない方がスキップできる分商品は早く店舗に到着できるのではないかと考えます。

マスコミがドミナント戦略と題して認知度向上、物流効率が上がるなどという深掘りしない報道をしていると本部は笑うでしょう。認知度向上は広告を打てば解決するはずで何もリアル店舗をむやみやたらに増やす必要は無いのです。本部にとってお店とは、単なるお金が入ってくる箱、儲かる玉手箱でしかないのです。オーナーが発注さえかけてくれれば何でもよく、後のことは全く考えなくてよい、人物金のリスクは完全に加盟したオーナーに丸投げできるので本部が儲かるだけの仕組みになっているのです。だからこそ本部は店を出し続けますし、店が毎年減収減益であっても本部は毎年増収増益が達成できるのです。つまり店を出すだけで本部が儲かるという構図がそこにあるのです。