中労委「コンビニ店主は労働者ではない」 なぜ今?

コンビニ店主で構成される団体「コンビニ加盟店ユニオン」が厚生労働省の中央労働委員会に救済を申し立てていた問題で、中央労働委員会がコンビニ店主は労働者ではないという発表を出した。マスコミでは簡潔に伝えるために「労働者ではない」という見出しになっているが、厳密には「コンビニ店主は労働組合法でいう労働者にあてはまらないので団体交渉はできません」という旨の発表だ。労働を否定というよりも、労働組合法上の労働者ではないという意味合いが強い。

詳細は中労委の公式ページからPDFを読んで頂ければわかるが、双方の言い分をまとめた上で結論を出していて中労委は単純に店主を批判しているわけではない。実は本部批判もしている。
労働組合法上の労働者を構成する要件として
1.相手方の組織に組み入れられているか
2.契約が一方的、定型的なものか
3.報酬は労働の対価またはそれに類似するものか
という三つのポイントを挙げていて、「契約は会社により一方的・定型的に定められたもので交渉により変更の余地はない」「契約の中で相当時間労働している事」「内外装や看板、制服などを見ると会社に組み込まれているように見える」「本部は自らの収益を拡大するために加盟者を利用している」「本部と交渉力の差はある」と糾弾している。直接是正せよとは書いていないが、本部は今後これらについて歩み寄りをしなさいという実質の命令書であるに違いない。
一方、コンビニ店主は人材の採用や時給の設定、(SVの強要があるにせよ)仕入れなどにおいては自由な裁量で運営できるため「独立した事業主としての性格を失ってはいない」という分かりづらい書き方をしているが、要は労働者には当たらないという結論のようだ。

これらは初回の申し立てから約10年結論を先延ばしにして業界の中では結論が待たれていた。10年結論が出ないのは異例中の異例でそれだけ問題が複雑で入り組んでいるということだ。なぜ今という問題だが、コンビニに関する報道が過熱しテレビ等も積極的に24時間廃止の方向で報道するようになったことが大きいだろう。今までテレビや新聞等はタブーというかスポンサーに配慮してコンビニ問題を報道してこなかっただけに衝撃を感じた人も少なくないはずだ。軽めに報道したが何も言ってこなかったから言っちゃえ、というスタンスなのだろう。
さらに追い打ちを掛けたのが「個人交渉で時短を認めた」というセブンの報道。面で戦うのがユニオンのスタンスのはずだが、個人で本部と交渉して時短営業を勝ち取った。そうすればもはや中労委の立ち位置はない。中労委としてはそういう前例があるならば労働者性は認められない、個人事業主だ、となるのは当然のことだろう。
また労働者性を認めると本部の圧力が強くなることも考えられる。極端な話、「オーナーは労働者ですからパン100個発注して下さい、この決定には逆らえません」「廃棄は月100万円出して下さい」となることも考えられる。一概に労働者性を認めるのがいいかどうかも考え物だ。

そういう一連の流れもあって後は世論に任せる、メディア等が叩いて正しい方向に向かうだろう、国が制約するのはよくないという判断になったのだろう。実は文書自体は何年も前にできていてそれをいつ出すかの問題でしかなかったのかもしれない。平成がもうすぐ終わるという時にこの問題について一応の決着がついたのは評価すべきポイントだろう。今後裁判の場に移るようだが、今回の結論がひっくり返るのは難しいのではないかと考える。