新卒の給与はここ10年上がっていない。しかし毎年上がり続けている商品がある。自動車である。軽自動車はここ数年の上がり幅は数万円ほどだが、普通車は10~20万円、高級車になるとそれ以上である。例えば価格.comにあるムーヴの新車価格表の最安モデルを引用すると以下の通りだ。
2002:99万円
2006:101万円
2010:110万円
2014:111万円
ホンダになぜ最近の車は値上げしているのか聞いてみると以下のような回答が返ってきた。
ご存じの通り、昨今、CM等でも車の安全性に関する内容が多く見受けられ、衝突軽減ブレーキ等の装備に対するニーズが高まっております。衝突軽減ブレーキ等が比較的リーズナブルにお買い求めいただけるようになり、FITにつきましても2017年6月に発売したモデルより、Honda SENSING(ホンダ センシング)が装備され、過去のモデルよりも高性能な衝突軽減ブレーキが装備されました。また、それ以外にもHonda SENSINGには複数の先進技術が新たに装備されております。ご指摘の通り、高性能な機能を得たために、お車が値上がりしたことは事実です。
モデルチェンジの度の10%ずつの値下げにつきましては、この場でお約束はできませんが、頂戴いたしましたメールの内容を真摯に受け止め、 お客様からのご要望として弊社関連部門へ申し伝えます。これからも満足いただける、より良い製品造りのため、 努力する所存でございます。
装備差があるので一概には比較できないが、何となくベースが上がってきているのがわかるだろう。10年で10%と思ってもらえばいい。メーカーは歩行者保護ボディや安全装置の拡充を言い訳にしているが、販売店の人件費の上昇、少子化、最近の若者が自動車を買わなくなっているゆえに値上げせざるを得ない環境が続いているのではないだろうか。地方から都会に上京すれば自動車は不要だ。よって車がなくても生活できる。
他方で、田舎では車がないと生活できない、日々の生活の足だ、と唱える人も多い。新車の価格が上がれば当然中古の価格も上がるので若者は簡単に車を手に入れることが難しくなる。このまま車の値上げが続けば若者は車を買えず、車がなくても生活できる都心部に流れていくのは時間の問題だろう。またメーカーが小売価格設定時に計算に入れているかはわからないが、毎年の自動車税や車検ごとの重量税などを支払うのはユーザーだ。一応ローンの審査で見分けはするだろうが、これぐらいの年収の人にはこういう車がお勧め、というような提案を営業もすべきだろう。なかなか人に年収を言いたくない人もいるかもしれないが。
今車に乗っている人は安易な買い替えはやめて、買い替えがどうしても必要な時のみ買い替えるようにしよう。車を買い替えというと聞こえがいいが、借金が雪だるま式に増えていくだけである。また今のローンの金利が次車を買う時に同じとは限らない。次々車を買い替えていくと永遠に借金の返済が終わらないという無限地獄に陥る。もちろんキャッシュで買いますという人は影響ないだろうが、ほとんどの人はローンで返済するだろう。
若者に車に興味を持ってもらうために25歳以下は半額にしますよ、みたいな思い切ったキャンペーンも必要なのかもしれない。
