コンビニで人件費を30万減らす方法

多くのフランチャイズビジネスでは、人件費は固定費とされ、なるべく抑えるべき項目とされていますが、
実際には客が少ない、仕事がない時間帯に人を余計に配置している無駄な経営者も見られます。

時給を最低賃金にすることで人件費を抑えるという方法もありますが、それは今の時代には不向きです。
この時代、時給が上がることはあっても下がることはありませんし、労基法で縛りがあるので時給は上がる一方です。
「時給なんて人が来るか来ないかとは関係無い(つまりそこで働きたくて応募してるから金は二の次)」という経営者も多いですが、確かに最低賃金でも応募があって働いてくれる人がいるのは事実ですが、そういうケチな経営者は時給を上げることをしないので、バイトが長続きしません。バイトに辞められたら、その後を埋めるために一時的に他者がシフトに入り、求人誌等に募集をかける。その募集費用がかかるので結局はトントンかむしろ時給下げてる方が損です。

そこでおすすめなのが、「枠自体を減らすこと」です。
シフトと人件費の関係
※青の部分は一般的な店におけるメインイベントを示す。ラッシュ(7時、12時)、センター便(8時、15時、22時) 時給800円で計算

本部はオーナーさんが入る時間を増やしてくださいと言いますが、オーナーの業務はシフトに入ることではありませんし、10~15年もそんなことやってたら死にます。
身体が持ちません。シフトに入ると確かに人件費は減りますが、それはみせかけでしかありません。
割増を払う必要がある夜勤の時間帯にオーナーが入っていることが多いですが、それも深夜割増の節約にはなりますが、本質的な解決策ではありません。
シフトに入ると緊急時対応ができず、クレーム客に対して「疲れてるから寝ます対応できません」では火に油を注ぐ結果となります。
もはや独立した経営者ではなく本部の使用者になってしまいます。あくまでも24時間バイトで回せる店作りにしなければなりません。まあ、1~3時間などちょこちょこ入って現場に顔を見せるのは大事だと思いますが、オーナーが朝から夜までいるのは、私は無能な経営者ですといっていることと同義です。
枠を減らす、要はワンオペの時間を増やすということです。
ワンオペにすると言っても、ラッシュ時のワンオペは絶対に避ける、センター便などの納品時は必ず二人にしておくことが原則で、仮にワンオペ時に納品されることがあってもその際の納品物はなるべく分散させ、最小限に抑えます。
そしてバイトには、「チルド商品は1時間までなら放置しても構わない」「冷凍も30分放置までは構わない」「菓子、パンやおにぎりなど常温商品はどうせ溶けもしないし自分の好きなタイミングで」として、すぐ検品や納品させることを強制しないようにします。いつ忙しく、いつが暇かはその日になってみないと分からないので、臨機応変な対応がバイトでできるようにしておきます。またワンオペ時は自分の身は自分で守ることを条件というか引換に、「好きなだけ休憩して良い。休憩開始や終了はしなくていい」「仕事がない時は事務所で飯を食いながらカメラをながめ、客が来たら対応するスタイルでよい」ということにします。

確かにワンオペ時間を増やすことは、リスクも伴います。コンビニなら客数30以下ならワンオペで回せます。
各シフトについて2人が必要かどうかヒアリングし、必要のない時間はカットしていきます。1時間でもカットできればかなり違ってきます。
特に深夜のワンオペは防犯上危険であり、本人の同意を得ることは必然で、業務の効率化を図ることも当然です。

本部のマニュアルを無視し、以下のように業務をオーナー裁量で変更します。
・全日22-6ワンオペにします。
・平均日販の店ならさらにこれに加え平日の9-11、13-17、20-22、日曜6-11、日曜16-22もワンオペにします。これをすると時給900円計算で月20万円浮きます。年末年始は24時間ワンオペ
・おでんや中華まんは12月~2月までの短期間に絞るか、什器ごと本部に返還します。
・発注アイテム数は、日販50万で1便120件、2便と3便は40件以内にします。冷凍便は売価で3万円以内。
・バックヤード/倉庫には商品が無いようにします。多頻度少量発注が魅力のコンビニで商品を裏に沢山抱える意味はありません。
・セラミックタイプの店舗ならば掃除機や水拭きやから拭きなどしなくても、ホコリを取る程度で十分です。
・トイレ掃除など不要です。「きれいにお使いください」などと暗に客に掃除させるよう要求します。トイレットペーパー補充程度で十分。
・犬走り清掃やガラス清掃も不要です。
・雑誌の返本は指示書通りに行わず、気に入らない本や売れない本はガンガン返して納品を減らします。1週間売れなければ即返本。
・深夜納品の菓子やウォークインの品出しは深夜にやらせずバックヤードに放置し昼間でやる(高い時給の時間でやる事ではない)
・おでんの清掃は朝勤がやる(おでんは早朝は売れないので早朝に掃除する)
・ウォークインのジュースの新商品はその日に出す必要はなく、暇な日に出せば良いのです。新商品が発売されても広まるまで時間がかかるので、発売日前に客から問い合わせがあるような人気商品でなければ、3日以内に出す事を目標にします。
・新商品はフェイス開けたりプライス差し替えが面倒なので全て発注拒否。1ヶ月に1品程度でよい。入れたとしても1回でカット。SVの要求は無視
・揚げ物やウォークイン、アイスは一番売れているAランクのみ品揃えし、あとはカット。
・弁当、サンド、パン、揚げ物やアイスの新商品は原則1回でカットし、定番のみを置くことで棚のスペース確保
例えば中華まんも肉だけで十分。それ以外は冬でも取り扱いをしない。
欠品を恐れる経営者も多いですが、客が文句言ってきても無視する度胸が必要
・店外のゴミ箱も、店員の負担でしかないため撤去。ゴミの量が半減、ゴミ処理代が浮くかも
・過度な仕入れは利益目減り要因となる。スマホ充電器等売価の高い商品は仕入れしない。切手も2種類のみで十分
・ホッターズ内部の部品は清掃せず、トレーのみ清掃します。
・天井からつり下げたり、組み立てが面倒なもの、大がかりなもの、レジマット、いまいち趣旨がよく分からないものなど、自分の気に入らない販促物は捨ててしまいます。
コンビニには無駄な業務が多すぎます。
このように業務を減らすことで、結果的にワンオペでもレジのみに集中でき、バイトが安定するため人件費の削減につながります。
また、誰でもできるような仕事はワンオペ時間ではなく他の時間に割り振るなど、業務を平等に割り振ることも大事です。
例えば深夜の場合、ツーオペで時給1,000円より、ワンオペで時給1,500円にしたほうが従業員の満足度も高いし経営者も人件費を減らせます。

最後に、バイトに「シフトの指示通りに帰る。0分ちょうどは無理でも15分以内には」として、無駄な残業を行わせず、次の人に引き継ぐようにする仕組み作りも重要です。
「キリの良いところで帰ってね」なんていうと、湯水のごとく人件費を使われてしまいます。終わらないものは終わりませんでしたと、途中でも引き継いでとっとと帰れば良いのです。責任感も何もありません。バイトなんですから時間になったら帰るだけです。
1日1,000円の残業があったとして、1ヶ月にすると3万円にもなります。
コンビニという都合上このように最小の人員で動かしているため、次の人が遅れたら前の人は絶対に残らなければいけないシステムになっていますが、次の人の遅刻の場合は除外として、だべっていて遅くなりましたとか理由のないものは基本的に認めないものとします。退勤打つのを忘れましたというのも1度や2度ならわかりますが、何度もとなると話は別です。

これらを徹底すると、大きな負担なく112万の人件費を86万円に削減できます。月26万円、年にすると312万円にもなります。
逆にそれ以上削減したければ、オーナーなりが入るしかありませんが、そこまでするぐらいなら「冷蔵什器は8度、冷凍什器は-18度に設定する。夜中のFF販売を休止して電気代節約」「外看板の電気消灯」「プリンターインクの互換インク利用」「レジ袋・レジロールの社外品利用」「廃棄金額を減らす(FFの無駄な製造を抑える)」など、別の対策を考える必要がありそうです。