うっかり規約違反?! フリー素材の落とし穴

「フリー素材」「登録不要」「無料公開」「あらゆるコンテンツに使える」などと謳うフリー素材配布サイトが近年増えている。
いらすとやはほぼ自由なので企業の販促物にも使われるようになってきたが、そのいらすとやであっても「LINEスタンプ等の二次配布」は禁止、「21点以上使った商用デザイン」「高解像度データ」は有償対応と記載がされている。

まず、フリー素材=著作権が発生しない、という認識は改めて頂きたい。多くの作者は著作権を放棄することを認めていないので、フリー素材であっても原則制作者に著作権がある。その上で、規約を定めた上で公序良俗に反しない範囲であれば自由に使っていいですよと許可しているのである。フリー素材で無料であろうが有料であろうが、著作権が作者にある事に変わりはない。

最近炎上したある芸人のBGM無断使用の件においては、配布元サイトでは「著作権表示のお願い」と「二次配布の禁止」が規約として定められていたが、それを破り著作権表示をせず無断でTVで放映、さらにはレコード会社でそれをあたかも自分のBGMであるかのように販売しており、作者は何度か連絡を試みたものの無視されたと言う事でwebサイトでその事実を公開、ネットニュース等で拡散されたのだ。
大人の対応を求めようとしたものの無視されたので公開に踏み切った、作者はものすごく無難で柔和な対応をしようとしたことが読み取れる。
○著作権表示とは?
TVなら画面上に、雑誌等なら近くにcopyright ○○と「どこそこから拝借させて頂きました」という旨の表示を入れること。
○二次利用とは?
あたかもそれそのものを自分の物として販売すること。LINEのクリエータースタンプも含まれる。利益があるかどうかにかかわらず売る事自体が二次利用。フリー素材を「フリー素材」として売る事も二次利用だ。
○営利目的とは?
CMを流して利益を得ているTV・ラジオで使用の他、CM・新聞等のメディア、パンフレット・カタログ・ポスター等の印刷業界があてはまる。法人が扱うものほぼすべてといっても過言ではない。芸人であっても仕事中に使えばそれは法人利用と見なされる。一方、入場料を得ていない地域や学校の運動会程度であればセーフとなる可能性は高い。

googleマップも個人の利用においては許可されているものの、商用利用には注意が必要だ。ガイドブック・物品・印刷広告への利用は許可されていない。TVCMへの利用は許可制となっている。

著作権意識の薄い日本。中学・高校・大学でロクな情報教育がされていないと私は常々唱えているが、フリー素材は作者の善意で公開している物だ。まずは各サイトの規約を読み、規約について不明な点がある場合はむやみに使わず作者に問い合わせること。連絡が無ければOKではない。芸人等、法人による利用は簡単に使えない可能性が高い。個人は無料、法人(営利目的)は有料というフリー素材配布サイトがほとんどだからだ。規約を読んで「このサイト規約が厳しいな」と思ったら使わない、よその素材を使うというのも一つの手だ。
フリー素材のおかげで自分で一から素材を作る仕事が減り、楽になったのはメリットかもしれない。しかし規約をよく読まないと訴訟になる恐れもある。フリー=自由に使える、という意味ではない。必ず規約を読んで、規約に従って使用して欲しい。サイトごとに規約は異なるのであるサイトの規約が全て当てはまるものでもない。
フリー素材の考え方には賛成だが、使う方も規約を読みモラルとマナーを守って利用して頂きたい。