この秋から多くのコンビニチェーンでは、おでん70円セールを取りやめ、1割引やおでん100円など、値引き額を抑えたセールに移行しました。※2017年度からホトボリが冷めたのか徐々に70円を復活させてます
なぜこのような事態になったのでしょうか。
理由は簡単で、2016年8月25日に公正取引委員会が、ファミリーマートに対して以下の勧告をしたからです。
(2) ファミリーマートは,次のアからオまでの行為により,下請事業者の責めに帰すべき理由がないのに,下請代金の額を減じていた。減額した金額は,総額約6億5000万円である(下請事業者20名)。
ア ファミリーマートは,平成26年7月から平成28年6月までの間,「開店時販促費」を支払わせていた。
イ ファミリーマートは,平成26年7月から平成28年6月までの間,「カラー写真台帳制作費」を支払わせていた。
ウ ファミリーマートは,平成26年7月から平成28年6月までの間,「売価引き」を支払わせていた。
エ ファミリーマートは,下請事業者に前記アの「開店時販促費」,前記イの「カラー写真台帳制作費」又は前記ウの「売価引き」を自社の指定する金融機関口座に振り込ませる方法で支払わせた際に,振込手数料を支払わせていた。
オ ファミリーマートは,平成26年7月から平成27年9月までの間,下請代金を下請事業者の金融機関口座に振り込む際に,下請代金の額から自社が実際に金融機関に支払う振込手数料を超える額を差し引いていた。
開店時販促費・・・・開店時3日間の廃棄ロスを店長には「本部負担」として大量に発注するよう命じておきながら、実際には製造業者に負担させていた
カラー写真台帳制作費・・・いわゆるなんとでも言えそうな項目。商品の写真撮影およびそれらの管理費、といったところか。
売価引き・・・つまり「セール」のこと。
これは、本部が「700円クジ」や「週替わりセール」「おでん70円セール」などを行う施策の原資として、
「日々のつきあいだから」「原価下げてくれないと取引やめるよ」など脅しをかけ、取引先業者から金銭を奪っていたということを意味します。
ファミリーマートは差額6億5000万円を納付したと説明していますが、納付したからいいという問題ではありません。
つまり、本部は自分の出費を最小限にして、取引先業者に値引き原資を払わせて(全部ではないんでしょうが)、セールを行っていたということです。
指導を受けたのはファミリーマートですが、コンビニチェーン本部は「チェーンイメージの維持」を最も大切にしており、これが傷つくと顔を真っ赤にして怒ります。
要はホワイトだということを一生懸命宣伝しており、国によってブラックである事がばらされることを一番嫌うわけです。
これが加盟店相手だと、本部の凄腕弁護士を使って法的措置も辞さない等強気に出てきますが、公正取引委員会が相手だとだんまりです。
他のチェーンも「公取から警告を受けたらチェーンイメージが崩れる」ということで、各社セールを縮小したのです。携帯0円と似たような構図ですね。
携帯業界やコンビニを取り締まっているのは「公正取引委員会」です。
国の一機関であり、ここで出された決定は、全世界に公開される上に、最高裁の判断にも影響してきます。
なので、ここから警告を受けるといろいろヤバいわけです。
過去にセブンの「見切り販売」に関しても、公取が判断を出し、双方引かないまま最高裁までもつれ込み本部が敗訴したという判決があります。
オーナーは使用者なのか労働者なのかという裁判等も出てはいますが、各社リリースを読んでも近年これに対しての具体的な対応はされていません。
前例がなく判断が難しい物は時間がかかりますが、今回のような「下請けいじめ」は前例があるため素早く対応できたのです。
(2年あいていますが、それまでは誰からも告発が無かったのでしょう)
公取はじめ国の組織は、既にチャージを50%以上とる違法モデルを知ってはいますが、双方が合意して契約した以上はよそ者は何も言えないので
消費税増税や最低賃金の上昇など、利益のないビジネスを追い払うよう、つまりコンビニが成り立たなくするように周りの壁を固めてきています。
そうした中、本部が別の手段で儲けようとした場合には、公取が警告する。
ガラケー時代は大人しかった総務省が、スマホではうるさいことからもわかるように、業界が発展しても日本が潤わない企業は徹底的に叩きます。
「国はコンビニが嫌いなんだ」
このことを基本として、本部は施策を考えて欲しいものです。
そして国はもっと、コンビニのブラックな部分をあぶり出して欲しいと思います。
加盟店から違法チャージを取り、ホワイトなCMを流そうとしても、今はネットの時代で国民もうっすら気づいています。
今の非健全なモデルをどんどん締め上げて、健全なビジネスモデルで純国産のチェーンを作ることが国のやって欲しいことなのだと思います。
