友人がセンシング付の新型NBOXを新車で購入しましたのでレビューします。2017年9月にフルモデルチェンジを受けセンシングが全車標準になって出たばかりの新しいモデル。走行距離はわずか3km。できたてほやほやの新車です。
NBOXは雑誌やネット等でも高い評価になっており隙の無い車、他の追従は無理、軽ではこれしか無い!という評価になっていますが本当なのでしょうか。60枚の写真と共に検証したいと思います。
*本レビューでは標準装備のことを「標準」としています
また運転初心者や女性に合わせて技術的な説明はなるべく省き、ふんわりとしたレビューにしていますのでご了承下さい。
2022/2/22追記:2022モデルの新型N-BOXレビューはこちらをご覧ください
1.外観
タイヤはエコピアでした。ホイールも安さを感じさせないデザイン。
出っ張りのような物はセンサーですが、センシングの機能の一つである「後方誤発進抑制機能」のために全車標準となります。
アンテナは中央部ではなく右端となります。燃費を気にする人は即撤去してドルフィンアンテナに改造ですね。
多くの車にある天井部分の黒いゴムのような部品が内部に移動しているため見た目のデザインがよくなっています。
車体色に合わせたウインカーつきのミラーとなります。GLターボ以上は鍵閉めたときにミラーが自動でたたまれるオートリトラミラーが標準となります。
側面はフィット同様のデザインを採用し、持ち手はバー式となります。
全車スマートキー標準ですので、握ると解錠、黒いボタンを押すと施錠となります。
サイドは真四角で直角のような印象を受けますが、フロントの顔は可愛いですね。女性受けする理由が分かります。
タントと比べてガラスが黒いなと思ったと思いますが、これは全てのガラスにIR/UVカットのガラスを採用しているためです。日焼けを気にする女性に嬉しい装備ですね。また中が見えづらくなっているのでプライバシーも安心です。
給油口は、車内部でレバーで開ける形式では無く給油口部分を押すと反動で開くタイプなので初心者にもわかりやすいです。ただし車が施錠されると給油口もロックされるので給油時は注意。
2.インテリア
車の中に入るとレクサスを彷彿とさせるウェルカムメロディが鳴ります。オフにできるのかは不明。
シートは触るとふんわりした感じですが、実際座ってみると「電車より少し柔らかいかな」「特急電車に近いな」という印象。5km~10km程度の通勤であれば疲れないかなと思いますが半日以上の長距離には向いていないシートですので、社外クッションなどを敷くことをお勧めします。どちらにせよ快適なシートなので大腿骨の負担が軽いです。軽にしては感動ものです。後席のシートは前席よりは劣ります。
持ち手の上の部分に取っ手があります。簡単なチケット類やコイン類の一時収納にも使えそうです。
ミラーの調整、チャイルドロック、窓の開閉権限の設定があります。窓に関しては運転席から4ドア分操作可能です。
子どもが勝手に窓を開けるのを防ぐことができます。
また車速感応ドアロックが全車標準ですので車が動きだすとガチャっと音がして全部のドアに自動でロックがかかります。子どもが不意に出ることを防止するほか、煽り運転で煽られた時も安心ですね。
その隣にはコインやスマホなどを入れられそうなちょっとしたスペースが。
確認したところ5インチ相当のスマホなら横にして入れられます。
気が利きますね。
続いてメーター下にティッシュが入りそうな収納、スタートボタンの上側にもちょっとした収納が。
上にチケット類、左にスマートキー、右にドリンクを想定しているようです。
小銭などを入れておけばドライブスルーで財布を出さなくても済みますね。
エンジンは鍵では無くボタンを使ってスタートストップという機能が全車標準です。位置はホンダ車はハンドル左の車もありましたが、最近から右に変更になっているので注意。ボタンにはフィット同様照明が付いていてやんわりと光るので夜間も安心ですね。
その上はスライドドアのオープンクローズボタンです。ここを押すとタクシーのように自動で開け閉めができます。
また隣のオンオフの設定は「自動スライドドアを有効にするか」というもので、これをOFFにすると自動スライドドアがオフになりどちらとも手動になります。よくディーラーにくる客で「自動で開かない!」という客のほとんどはこれがオフになっているケースが多いとのことでした。
一番下には横滑り防止機能、センシングの車線逸脱機能、衝突防止機能のオンオフの設定ですが、安全の根本に関わる設定ですので営業から原則いじらずに使ってくださいとの説明がありました。
ハンドルまわりのボタン類です。感触は固めで押すとマウスのクリック音のような音が出ます。
左側はオーディオ関係です。左右を押すと音楽を切替え、上下で音量。ソースボタンで地デジやBluetoothなどを切り替えます。
Bluetoothの電話関係のボタンもありますので、連携の設定をしておけばこのボタンを押すだけで電話を取れます。
右側はホンダセンシングに関係する機能です。全車標準となっています。
まずMAINボタンを押し30km/hを超える状況でSETを押すと定速運転(+-で速度調整)、65km/h以上の状況でハンドルボタンを押すとハンドル自動制御がかかります。キャンセルボタンを押せばキャンセルできます。フィット世代のセンシングよりもさらに世代が進化しており車線維持機能周りの挙動(読み取り間隔?)が改善されており首都高でもよりスムーズに運転できます。
またiボタンやTRIPボタンは車両設定などに使います。ほとんどの場合使うことは無いでしょう。
車速感応式ワイパー、つまり車のスピードに合わせてワイパーの速度を調整する機能がGLセンシング以上は標準です。
これを搭載する場合は少しワイパー周りの表記が増えてごちゃごちゃしてしまいます。
右側のレバーは撮影し忘れましたが、ウインカーとライトです。「ウインカーはワンタッチを採用していますので一度触ると三回点灯します。注意してください」「奥に倒すとハイビームですがオートハイビーム採用されていますので原則操作は不要です」と営業から説明ありました。
エコボタンが少し操作しづらい場所にあるのは難点。
またメーターの明るさのプラスマイナスができるボタンもあります。
サイドブレーキは足踏み式ですが、かなり端の方にあるのでビックリします。抵抗があるので「踏んだな」ということで初心者にもわかりやすくなっています。
アクセルの上に第二のティッシュ入れと言わんばかりの収納がありました。
ETCの搭載スペースももちろん装備。このようにすっぽりはまります。
メーターは針式を採用。軽なのにタコメーターがあるあたりがホンダの意地ですよね。普通車に匹敵するぐらいの材質の物を使っています。
これがエアコンですが、旧アクア並に使いづらいので改善希望ですね。
AUTOボタンを押すとAUTOになるのですが、消すときはAUTOボタンをもう一度押して消えるのではなく左下のON/OFFをわざわざ押す必要がある。フィット等に採用されているタッチパネル式で無く普通のボタンなのはいいですが、ボタン配置が特殊なのは賛否が分かれますね。
温度調整はAUTOボタンに付いているリングをぐるぐる回します。0.5度単位での設定が可能です。
GLセンシング以上で、助手席側の収納の中にスマホ充電用のUSBジャック(2.5A)装備。急速充電対応です。
一部の対応ナビを買うともれなくもう一個付いてきて3個になる場合もあります。
もしこの穴が目立つという場合はディーラーに頼めばオプションで追加してくれます。
3.細かい気遣い
GLセンシング以上は、シートアジャスター、つまりシートの高さを変えることができる機能が標準となります。
最安モデルには装備されません。あとから欲しいといっても追加できません。
これのためにGLセンシングを指名買いする人も居ます。
背の低い人には必須機能と言えます。
ハンドルの高さを調整するチルトステアリングは、全車標準です。
こちらも背の低い人には必須ですよね。
車検証入れは力の無い女性に配慮し力が無くても簡単に開くようになっています。
厳密に言えば収納部分と開く部分を分離させているような構造。
助手席エアコンの下にはボックスティッシュが二つ入るぐらいの収納(通称スマホ置き?)があります。
また助手席ドア側にドリンク禁止マークのある浅い収納と深い収納、車検証入れの横には押すと出てくるタイプのドリンク収納があります。これだけドリンク収納があればスタバでドライブスルーしても安心ですね。ドリンク禁止マークのある浅い収納にもドリンクは入ります。300mlぐらいの小さいものなら落ちることは無いでしょう。
死角を確認するためのミラーです。これを外すことはできません。
中央の足元にはコンビニフックとシガーソケットがあります。灰皿は昔の車はありましたが今は存在しません。
その下にはCDを格納できそうなスペースの収納が。
日よけは、助手席・運転席ともに鏡を装備しているので女性のお化粧直しにも最適。
外車には鏡の他ライトも付いていたりしますが、まぁそこまではいらないでしょう。
ただしこの日よけ、サイドの窓から入ってくる光は遮ってくれませんので完璧ではありません。(右を外して回転するとサイドもカバーできます)
車両前方の照明については押すと光る手動の照明のほか、ドア連動に設定することもできます。
入室してエンジンをかけるまでの間一定の秒数光っていることで、夜間の走行も安心です。
色はオレンジ色の普通の豆球ですので、LEDにしたければオプション購入の必要があります。(まぁ社外でも安く買えますけどね)
スライドドア側にもチャイルドロックが付いています。こちらを操作すると外からは開けられますが中からは開けられなくなります。
後ろの手前側の死角となる部分に鏡が付いています。子どもや猫などもしっかり確認できます。
後ろの席のみ日よけが全車標準です。日よけの他にも子どものプライバシー確保にも役立ちそうですね。
また後ろの席は窓の真横に持ち手があるので子どもや高齢者でも段差でこけること無く乗り降りできます。
後ろの席はコンビニフックと簡単な書類入れのような収納、また荷台スペースの近くにもドリンク収納。
イージークローザーはGLセンシング以上標準です。スライドドアの半ドアを防止する機能です。便利ですね。
4.シートアレンジ
足を外してシートを倒せばこのように!自転車が詰める大空間に!なんということでしょう!
前の席もスライドすればもしかしたら車いすも積めるかもしれません!
荷台と後席の空間のバランスはこの取っ手を引くことで前後できます。
「ニトリで大きいもの買ったから荷台のスペース広げたい」という場合でも簡単にできます。
175cmの大人が座ってもこぶし2個分はありそうな余裕の空間。天井も高く185cmの人が座っても余裕がありそうです。
この前席・後席の余裕はフィットで採用したホンダ独自のパッケージング技術が使われており、今のところ他社は真似していません。
5.起動してみると
メーターは自発光式ですので夜でもくっきりはっきり見えます。軽ではメーターに変な模様が入っていてしょぼさを感じる場合が多いですが、白を基調とした高級感のあるデザインとなっています。毎日見るものですからね。
通常の車だとメーターはこれだけですが、NBOXの場合は違います。
上の写真では隠れていますが、この左に全車標準のカラー液晶が付いているのでカラーの特性を使って色々な情報を表示できるのです。
例えば最新の純正ナビを入れていると天気。これはびっくりしましたね。
他にも次曲がる方向が出てくる場合もあります。視線移動が減るので便利です。
右の写真のようにセンシングと連携した先行車検知の表示も可能。
6.減点ポイント
窓の上の持ち手については、運転席側はスペースはあるもののなぜか省略されているのは減点。
※サイドエアバッグを省くと省略されるようです
シートベルトの高さ調整が無いのは減点。
また、燃料タンクの容量が35リットルから27リットルに削減されています。動けば良いという人がほとんどでしょうから更なる広さや燃費のためにタンクが犠牲になったのですが長距離走る人は困るかもしれませんね。次のモデルチェンジでも犠牲になるのはおそらく燃料タンクでしょう。15リットルぐらいまで削減されてもおかしくありません。大容量タンクが欲しければ普通車など高い車買ってねというメッセージなのでしょう。
7.走り心地は?
エコモードでも十分走りますが、エコモードを解除して走ってみてください。普通車クラスの走りになります。
ライバルN社が「ひと踏み惚れ」なんて宣伝していましたが、それに近いです。軽でここまで走るのか。重量を人間一人分である80kg削ったという報道がありましたが、それが大きく効いていると思われます。
ただしロールというのか曲がる時にスピードを出して曲がるとついていけてないような挙動になるのは背の高い車ゆえの宿命なのでしょうか。
8.静粛性は?
はっきり言って「プリウス」並の静粛性はあります。アクアは超えています。軽独特の高音のエンジン音がほぼしないのでハイブリッドと見間違えます。
他のサイトでもこの点は絶賛されていますが、どうやら普通車クラスの遮音材を入れているようです。
ガラスも分厚い物を使っているのか、隣の車線を車が走っても音が聞こえません。
静粛性が高くなったことで隣や後ろの子どもとの会話がより楽しめる点はよいですが、緊急車両のサイレンが聞こえないというデメリットもあります。プリウスだのアクアだのと名前を出しましたが・・・この車軽だと言う事を皆さん忘れていませんか。
軽でこの静粛性は他社では絶対にあり得ません。
9.タント「スマアシⅢ」との安全装備の違いは?
NBOXの競合はタント・スペーシアですが、NBOXにしかない安全装備の違いを載せておきます。
①ACC/LKAS ・・・ACCとは簡単に言うと指定した速度での「定速走行」時速30km/h以上で利用可能。
LKASは車線を読み取ってハンドルを自動制御。時速65km/h以上で利用可能。
高速道路での利用が推奨されていますが、一般道で使うと疲れの軽減にもなります。
軽でACCとLKASを乗せたのはホンダが世界初です。
②車線逸脱時のハンドル制御 ・・・スマアシは警告までですが、ホンダはハンドル制御までします。
③標識認識 ・・・使わねえだろお遊び機能だろ、と思われそうですがないよりはあったほうがいい。
ちなみに、スズキ・スペーシアは後方に誤発進した場合自動ブレーキが作動する場合もありますが、NBOXの場合は通知のみです。
10.なぜNBOXに?
タントとスペーシアも見ましたが、意外と候補というのは単純な理由で却下されるものです。
タント・・・ウインカーの音が気に入らない、本体から値引き不可で値引き期待できない
スペーシア・・・金利が高い、残価設定型ローンで繰り上げ返済によって早期返済した場合にセットで付いてくる点検パックが有料になる
その上で新社会人の場合は支払い6月から、ボーナス払い冬からにできるホンダ独自の「飛びますクレジット」が決め手になったようです。
11.値引きは?
人気車のため値引きしなくても売れるというのが現状ですが、多少値引きして売れるなら営業の成績になる為一台でも多く売りたい所。
初見客には「お値引きは厳しいです・・・」といってるが、2台目以降・紹介客・社員の身内であっても車体から10万円引きが限界とかなり厳しい条件。DOPのほうで頑張って稼いで合計20万超えている人も中には居ますが、余計な時間や労力を食うのも無駄なので10+5で15万程度が相場のようです。土日に来店しクジの1等景品をもらって値引き相当、というのも手です。
12.純正ナビのレスポンスは?
こちらの動画を。過去に2014年モデルも使ったことありますが、それらよりは速くなっていますが、不合格が及第点になったという感じ。
今後の開発でもっと速くしないと、このままでは社外ナビに流れてしまいます。
13.エコモード使用時の実燃費は?
田舎走行 エアコンなし27.0km/l
都心走行 エアコンあり13.6km/l
高速走行 エアコンなし28.3km/l
市街地走行では普通車と大きく変わりませんが、田舎など流れの良い道を走る場合は18.0km/l前後になります。
また市街地でACC/LKASを使うと燃費が伸びます。
14.ライトはどれくらい明るい?
センシングに対応するため、ライトは軽自動車の中で一番明るいと言っても過言では無いでしょう。
ノーマル(左)で100m程度、ハイビーム(右)で200m程度照らせます。
カスタムにするとさらに明るいライトとなります。深夜の高速走行でも全く問題ありません。
試乗は時間が限られていてコネが無い限りは営業も同乗するため細かい点をまじまじと見ることはできませんので、これらの情報を参考にしてください。同じ価格で他社よりワンランク装備が上、そして金利も低い(3.5%)。結論からいえば快適装備が満載で免許取り立ての人からダウンサイジング目的の人まで、通勤・通学はじめての車として強くお勧めできる1台です。
