被害者になったら 事件発生・逮捕・捜査・起訴裁判の流れは?

事件は、一般的に交通違反等の軽微な事件と強盗や殺人等の大きな事件に分かれます。
軽微な事件は逮捕や捜査を省略して略式裁判で罰金、終了というケースが多いです。
ここでは大きな事件を想定して書いています。
事件完結までかなりの時間を要するため事件に巻き込まれても警察と関わりたくないという市民が一定数居るのも事実です。
もし被害者になっても慌てないように、要領をつかんでおきましょう。

1.事件発生
犯人の特徴、車種、色、ナンバー等を通報する
大きい事件の場合は複数人の市民によって通報される場合もある

2.パトカー1台到着
最初のパトカーから2人出てきて事件の詳細を聞く。
事件の大きさを判断して応援を呼ぶかどうかを判断する

3.応援到着
パトカーではない覆面車両等も動員して応援要員を呼ぶ。封鎖する必要がある場合は出入り口を封鎖する
大きい事件の場合はパトカー3~5台、覆面2台になる場合もあり、その場合は警察官10~15人程度が召集される
防犯カメラ等を確認して事件の事実(何時何分、場所)等を確認する

4.鑑識到着
鑑識とはすなわち証拠集め。
鑑識する必要がある場合は鑑識要員を呼ぶ。現場での鑑識が終わるまで関係者(被害者)は帰れない。
でも実際事件が起きるとこの鑑識がなかなか来ないので待たされることになる。概ね1時間以上。
足あとや指紋等を採取し、車逃走の場合はタイヤ痕を調べる。もちろんデジカメによる写真撮影も行う。
被害者の足あとや指紋も採取され、これらはおそらく警察データベースに登録されるほか、証拠についている指紋から除外扱いされる。

5.調書作成
警察はなるべくその日に調書を作成したがる。なぜなら成績にならないからだ。
「仕事が忙しいので後日にしてもらえますか」と申し出ることは可能だが、後日警察署に出向かないといけない上に調書作成しないと捜査終了や犯人検挙が遅れる。
基本的に「○○ということですね?」「犯人への思いは?」などと質問に答えていくだけでそれなりの文章を作ってくれる。
この調書は裁判で使われるため非常に重要なものである。納得がいかないなら何度でも作り直すことが可能。
最後に署名、そして印鑑(なければ指紋)を押して完成となる。署名・印鑑を押した時点で効力が発生するためやり直しはきかない。これらを押すまでに言いたいことが言えているか必ず確認しておくこと。調書作成は事件の規模にもよるが1時間程度はかかる。署名・印鑑を拒否して調書を作らないという選択もできるがほとんどの市民はそういう知識はないので犯人検挙のためならとホイホイと作ってしまう。
目撃者がいる場合は目撃者の調書も作る。

6.捜査
警察は保有車両や免許データベースを参照できるため、車種やナンバーから絞り込んだり免許の写真から絞り込んだりして個人を特定する。
集めたデータを元に捜査し、検挙となった場合は被害者に連絡が入る。
警察は数百~数千ページに及ぶ事件の概要や調書、写真等の証拠を検察に送付する。
(これらの証拠は裁判終了後被害者本人等に限り閲覧や複写ができる)

7.検察に送られる
警察は事件を調べる機関であるが、検察は警察からの事件の内容を元に裁判するかどうかを決める機関である。簡単に言えば検察は警察の仲間。
検察から被害者宛に「調書作りたいので事情を聞きたい」という電話があるかもしれないが、検察の事情聴取に行くと日当がもらえるのでお得である。(警察はくれない。ケチ)
日当の額は固定されていて数千円であるが、仮に30分や1時間で終わってもその金額がもらえるので時給換算すればその辺の登録販売者と同じぐらいの額となる。日当は聴取終了後現金でいただける。
数週間ほどすると検察が結果を文書で送ってくる。
「起訴」となると裁判となる。起訴された場合の有罪率は99.9%(厳密には97%)といわれているので、起訴=有罪といっても過言ではない。
もちろん「不起訴」になる場合もある。はっきり言えば警察の証拠集め不足ということであるが、その場合は被害者は何もできない。

8.示談するか?
犯人にとって、示談するのはここのタイミングしかない。
ここのタイミングを逃すと刑が決まる上、懲役になった場合は刑務所収監となるので被害者との接触が難しくなる。
弁護士を通じて文書が送られてきて「2万円で今回の事件をチャラにしていただけないでしょうか?」「では5万円で・・・」などとオークションのように金額を上げてきて交渉してくるが、重罪を望む場合はいくら金額を乗せてきても示談に応じてはいけない。もちろん裁判なんて嫌だ、さっさと終わらせたい、早く忘れたい、犯人の社会復帰を望むという場合はお金を受け取って終了、という手もあるがどちらを選択するかは被害者次第。示談成立となった場合は刑が軽くなるケースが多い。
ちなみに一つの事件で複数の被害者がいる場合、全員が示談に応じないと示談成立とは見なされないので注意。例えばAさんBさんは応じる、でもCさんは嫌だ、という場合でも全体として意見をまとめる必要がある。

9.裁判に参加するか?
起訴となった場合、しばらくすると検察が裁判日時を通知してくる。
被害者にとって重要な選択となるのが「裁判に参加するか?」「意見を陳述するか?」ということである。
検察から送られてくる文書に記載が無い場合が多いが、被害者は裁判で意見を陳述することができる権利がある。(犯人と対面することになるので嫌な人は陳述しない方がよい。ただし両脇には刑務官がいるので暴れることは不可能)
もちろん陳述するしないも自由だし、裁判に出る出ないも自由である。
ただし被害者が裁判に出てきて被害の大きさを言葉で伝えた方が裁判官の印象に響くのは明らかである。

10.意見陳述文書のやりとり
どういう意見を陳述するかは、あらかじめ台本を作って検察のOKをもらう必要がある。文書を印刷した物を定形外等で送る形だ。
書式は自由だそうだが、なんでもかんでもしゃべることはできない。
かなり書きたい気持ちも分かるが、あまり書きすぎると「被害者のプライバシー保護の観点からここは削って」なんて言われる。
時間の関係からA41ページにまとめるのが無難だろう。本番では多少省略したり文言を変えても大筋が通っていれば問題ない。

11.開廷
地方裁判で小さい事件の場合、概ね2回で終わる。
1回目は本人確認、検察側による概要説明、証拠提示、質問、弁護士側の言い訳や質問、陳述がある場合は陳述。求刑。概ね1時間程度で終わる。
ウソの供述をした場合は罰せられる場合があるというテンプレートも読み上げられる。
弁護士側は「当時犯人は判断能力が低下していた。心身なんとか症だった」とか言ってくるが診断書もない場合は怪しい。惑わされてはいけない。
2回目は量刑を言い渡される。検察求刑の6~7割が相場。「被告人を懲役○年(執行猶予○年)に処する」などと結果だけ言って「刑期を終えたら周りに迷惑をかけないように」などと犯人を諭して終了。10分もかからない。いくら模擬裁判を経験しても2回目のあっけなさを知っている人は少ないだろう。

12.控訴の権利
裁判の最後で「被害者又は被告人には控訴の権利があります。今回の結果に納得がいかない場合は2週間以内に控訴を申し出て下さい」という感じで説明を受けます。被害者は告げられた罪が予想よりも軽くて控訴、加害者は告げられた罪が予想より重くて控訴するケースが多いです。被害者から控訴することはできないので検察に電話して「控訴して頂けないでしょうか?」とお伺いを立てる形になります。最終的に検察が決めます。
地裁の上は高裁、その上は最高裁となります。
逆転無罪などというケースもありますがほとんどなく基本的には前の裁判所の量刑より軽くなることはほとんどありません。
双方が2週間以内に控訴しなかった場合は、判決確定となり懲役の場合は翌日から犯人は刑務所へ。
でも「執行猶予」がついた場合は再犯をしない限りは釈放となります。

1つの事件を捜査して裁判するまでここまで長い流れがあるのです。時間にすれば3ヶ月程度。
被害者から見れば長いように思いますが、人の人生を変えるわけですからそう考えれば必要な時間なのかもしれません。

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