JR東・九州が新幹線を用いた荷物輸送に注力する理由 精密機器に活路?!


JR九州が最安900円、JR東が最安1010円からの新幹線を用いた荷物輸送サービスを展開しているが、構想としては以前からあったはずだが「貨物と競合する」等の理由で各社共に躊躇してきたのが本音である。しかし感染症の影響で本来の仕事である旅客が減った為にその埋め合わせとして副業感覚で新幹線に荷物を搭載する試みが始まっているのだろう。これまでは駅構内店舗限定であったが、法人でもOKとか事前予約不要で個人でもOKになる等オペレーションも改善されてきており、政府が求める2024年問題とも合致する施策である。


新幹線で荷物等を運ぶメリットとしては、以下の物が挙げられる。
・自動車の倍近い速度
東北新幹線は320km/h、九州新幹線は260km/hであり、高速の倍以上である。
・即日受け取れる
ヤマト等だと都内で発送して東北だと数日掛かるが、新幹線だと4時間後には受け取れる。九州は指定不可、東はどの便で運ぶかを指定できる。
・時刻に正確
輸送障害等が起きない限り、時刻に正確であり渋滞に巻き込まれる心配はない。新幹線は鉄道会社由来の事故0%、死亡者ゼロであり経路が安全という事は品物の破損リスクも小さい事を意味する。
・壊れ物や割れ物も運べる
カーブや衝撃・急加速・急減速が少ない為、上から押されてつぶされたとか破損したとか内容物が漏れ出た等のトラブルが少ない。一点物の記念品などの輸送にも良いかもしれない。九州は破損については記載無し、東は破損しても補償しないとしている。ヤマトや佐川でも自動車を使って輸送する都合上、精密品の輸送は苦手分野であり、何かあったら補償制度で補償するスタイルとなっているがカネで解決しないケースも稀にある。
・簡易な梱包でOK
他の荷物との競合が少ない為、比較的簡易な梱包でも運んでくれるはずである。
・精密機器も運べる
デジカメ、ノートPC、タブレット、充電器等の精密機器も運びやすい。ホテルの着替えを入れただけのスーツケースとか今は使わないが旅先で使う一眼レフ等の輸送にも良いだろう。
一方で、新幹線を用いた輸送のデメリットは以下の通りである。
・駅から駅まで
駅から駅までの輸送が基本となっている。駅からホテルまでというのもあるが、九州は駅から車で10kmまでは運びますとしているようだ。配達そのものに特殊な免許や許可は不要なので駅員が運んでも良い訳であるが、緑ナンバーの車両とそれに応じた免許で運転する必要がある。シェアを広げるにはドア to ドアに対応するのが望ましいだろう。
・大量、大型は苦手
数百個とかツリー・デスクトップパソコン・机・プリンター・米のような巨大な荷物は新幹線に積めないので苦手なようである。一方、大きくてもスノーボードのような薄い物であれば運べるかもしれない。
・温度管理
貨物の輸送の半分近くは冷蔵冷凍商品であり、JRが裾野を広げるにはここをなんとかするしかないだろう。冷蔵は10度以下・冷凍は-18度以下にすればいい訳で、専用車両を開発して車内を丸ごと冷凍冷蔵温度にすればよいのである。冷蔵や冷凍に対応すれば花が運べますとかケーキが運べますというように運べる品物が大幅に増える。
ヤマトがあるじゃないか、佐川があるじゃないか、郵政があるじゃないかと言われそうだが、ヤマトと郵政が手を組んだようにドライバー不足や法制強化で先行きが厳しくなっており、県を跨いだDM便のような荷物は新幹線で運ばせるという話が出てくる事も大いに想定される。これら三社の苦手分野(高速輸送・精密商品の輸送等)を上手く突けば将来的にシェアを獲得できる可能性もある訳で、今後の展開に期待したい。