映画Winnyを見てきました。満員になるほどの極めて珍しい大ヒット作と言っても過言ではないでしょう。
まずWinnyとは何かという点ですが、アベマ等が紹介しているので端折りますが「回線容量の細い当時でも大容量データをやりとりできるようにしたフリーソフト」です。大学論文レベルの技術を搭載したソフトを全世界に無料で公開したのです。今となってはスマホで動画も見れますが、昔は固定回線が1Mbps程度で大容量データのダウンロードなどまず不可能な時代でした。端的に言うと糸電話で手紙を配るような事を実現したという事です。画期的な技術ですがそれを悪用する者も続出し社会問題化、警察が端的に事を片付ける為に安易に開発者逮捕に走ったという経緯です。暴露ウイルスで暴露されたから逮捕したのか、誰が指示したのか、黒幕は誰なのか、その辺は今も明らかになっていません。
開発者の金子氏は宇宙や写真が好きだったようですが、当方もその部分は共感しますが、パソコンやプログラミングは無限の可能性を秘めています。どんなパーツでどんなマシンを作ろうが自由、どんな動かし方をするかも自由ですから。真っ白いキャンパスに画を描くのと同じで、「Winnyとは表現」という開発者の言葉に全てが凝縮されています。芸術家が画を描いたら捕まるというようなおかしな話がこの日本で起きていたのです。裁判中は開発を一切禁止され芸術家から紙や鉛筆を取り上げたような物ですからさぞ辛かった事でしょう。改良したいと弁護団に懇願しますが却下されます。
Winny=ウイルスという警察の主張や報道に真っ向から反論する形となっており、パソコンや技術に詳しくなくてもかなり再現度が高いので裁判好きの人は必見ですね。懐かしいXPマシンが出てきますが、中古市場から揃えたのかもしれません。なぜこのソフト自体がウイルスでないかは映画内でも説明されています。当時の警察は違法動画をアップした人のみならずなぜか開発者も違法だとして逮捕した訳ですが、開発を萎縮するような事があれば日本の衰退につながる訳で、著作権の課題は勿論、P2P騒動の後も無限ループや採掘等、技術について警察や検察が無知な事は現在も続いている訳で、その点を世に問うているのは間違いありません。愛媛県警の話が出てきてこのシーンは要らないんじゃないかという人もいますが、出る杭は打たれるとか良い事(告発)をしたのに不利な立場に追い込まれる、裏金疑惑を否定したが証拠がWinny流出して世の中の役に立つ良い面もあった、警察は正義の味方と言うが常に正しいとは限らないという点で重ねて描きたかったのでしょう。金子氏に憑依していると公式も言っていますが、本当なのかと思いましたが中盤から明らかに憑依していると感じましたね。エンドロールで本人映像も出てきますので最後まで見ましょう。最後に「これでもうソフト開発で逮捕される事は無いでしょう。若い人は頑張って下さい」と言っていましたが、単純に事件の裁判をしたという矮小化に留めるのではなく次世代の開発者に伝えたい意図が込められています。そして映画はいくら良いものを作っても全国ネットワークに乗らないと意味がない訳で、その点ではこの事件は全国に伝える必要があると判断して配給に参加したKDDIに感謝ですね。そのおかげか、スマートパス加入だと1100円で見れますが全体的に首都圏中心の上映です。金子氏が「クライアントサーバーシステム」と言おうとして弁護士に「素人に伝わらないからダメ」として止められるのは面白いですね。今回逆転無罪の部分はあえて省略されていますが、Winny2という続編映画でも作る予定なのかもしれません。ソフトも実際に2まであった訳ですから。パソコンに詳しくなくても適宜説明が入りますので、若者・エンジニア・商品や情報を世に発信している人・警察検察や裁判系に興味がある人は是非映画館に足を運んでみてください。
