「Winny事件」は何が問題だったのか 開発者逮捕で激変した世界の景色


Winnyという映画の公開に伴い、彼がやってきた背景についてもマスコミ等で語られるようになっているが、Winny=悪ではなく、サーバーを経由する事なくファイルを共有できる技術を搭載したソフトに過ぎない。当時の技術としては理論ベースで語られる事はあったとしても実装したのは画期的であり、これを一般人に無料で公開し動作可能にしたという点では天才と言わざるを得ないだろう。リアルの世界で言えば書類を送ったりするのではなく伝言ゲームや糸電話で情報を人に伝えていくという形である。当然断片的な情報になるが、足りない部分は他の人の物を合わせて一つにするのである。素晴らしい技術を作ってもそれを運用したら警察に捕まるという事で、日本での技術開発が遅れた原因とされている。

一方、一般のサーバーではダウンロードが難しい数GBを超える大容量データについて多数のPCで分散保有させる事により短時間でダウンロードさせたり相手がいない場合は見つかるまで待機・速い相手が見つかれば遅い相手との関係は切る・自己保有ファイルを自動でアップする機能も搭載された為、ウイルス等に感染して機密情報がアップされたり、映画や違法ソフト等がアップされる等、一部の利用者が悪意を持って良くない目的で使われる事もあった。当時の回線はADSLで常時接続が流行した頃であり、一部の富裕層のみが光回線を持っているような時代で当時の貧弱な回線でも大容量データを扱えるようにしたのがP2P技術であり、2GBのデータを普通に落とすと1Mbpsで4時間掛かるが、8箇所から並行DL出来れば理論上は約30分で済むのである。この技術は今のWindows Updateでも使われている。それらをアップした人間は当然逮捕され最近の法改正でダウンロードした人も処罰対象になった訳であるが、なぜかソフトの開発者も著作権違反幇助容疑で逮捕されたのである。日本にとってこの逮捕は衝撃が大きく、ソフトを作って作者が捕まるなら誰も作らなくなる上、P2Pで逮捕されるなら日本ではやらないという事で失った20年と言われGAFA等に先を越される要因になった。弁護団は「高速で改造車や速度超過をする人もいる。それで高速を作った人間が逮捕されるのか」と食ってかかり最高裁で「幇助の故意は認められない」として無罪を勝ち取った訳であるが、日本の未来を変える可能性を秘めていたP2Pの技術が当時としては群を抜いて素晴らしすぎて警察も理解出来なかった可能性が高い。一方、大容量データを簡単にやりとりできるのであればそのようなデータがアップされる事も最初から分かっていたのではとする反対意見もあるが、純粋にP2P実装のみに専念していた可能性が高く、そのように悪用する人間はいないだろうと考えるのは開発者界隈では良くある話である。仮に違法ファイルがやりとりされたとしても当事者間の問題であり仲介している側は罪は被らないと考えていた節もあるだろう。Winny=ウイルスという報道も当時は多数出ていたが、それは間違いでありWinny自体が情報を流出させたのではなく、PCが何らかの方法でウイルスに感染し内部に含まれていたWinnyを起動させユーザファイルをかき集めアップフォルダに移してアップさせたと考えるのが妥当だろう。インストールパスを探してそこに移した可能性もあるだろう。どちらにせよ要はウイルスの仕業である。
ここ最近も警官がJavaScriptの無限アラート踏んで書類送検とか、ビットコイン採掘を裏で動かすのは良いのかという技術開発に影響を及ぼしかねない報道が出ているが、プログラムは素直かつ純粋で開発者の思い通りに動かす事が出来、良いプログラムを書こうと思えばそういう風にも書けるし悪いようにも書けるが、悪意のあるプログラムを書くのはウイルス作成者だけであり、殆どのプログラマーは使ってもらいたい一心で作っていて単純に利用者が悪いだけでプログラム作成者に非は無いと考える。素晴らしい技術を皆に使ってもらおうと考えたが、悪意のある利用者がそれを悪用し国家組織に潰されたのがWinnyだろう。そういう点で警察・司法はこのソフトを一方的にウイルス扱いして排除すべきという論調で捕まえた感が強く、日本国民にとって誰でも発信者になれるP2Pという技術は20年早かったのかもしれない。警察等もプログラムの動作の仕方をよく確認すべきであり、利用者によって使い方が変わるプログラムについてはその背景も理解すべきであったと言えるだろう。