JR四国「千年ものがたり列車」秘境駅見学しつつ絶品食事・絶景堪能

JR四国の「四国まんなか千年ものがたり」に乗車してみました。乗車券+特急券+グリーン券が必要になり、事前予約の食事を食べる場合は食事券も必要です。さらに別料金で酒・飲料・デザート等の車内メニューも注文できます。


多度津駅発「そらの郷紀行」は高松駅から特急に乗ると5分乗換で接続されています。構内放送もあまりされず臨時列車的な扱いなので、一般の乗客が物珍しそうに見つめていました。この列車だけキラキラ光っており、四国の列車で一番綺麗と言っても過言ではありません。四国の列車は水色がメインなので、赤緑青の配色を多用したデザインには目を奪われる物がありますね。

こちらが車内です。2人席と4人席があります。一人だと相席になる場合もありますが、相席と言っても距離は保たれているのでさほど心配する必要は無いでしょう。グリーン車なので席が指定されますが、ランプの部分に番号が書いてあるので心配する必要はありません。当日客が来なかった場合はアテンダントに相談の上、前後移動程度であれば可能です。

高級なおしぼり、箸等が置いてあります。アンケートは終着時に回収するようです。

多度津駅を出発すると駅員が大々的な見送りをしてくれます。ものがたり列車は社運を懸けている列車なので、駅員総出で仕事を中断してまでお見送りしてくれます。四国の賑わいを九州も取り入れようとしているようですが、なかなか苦労しているようです。

数分ほど走ると、多度津運転区の皆さんが手を振って見送ってくれます。

琴平駅で20分ほど停車します。その際に専用ラウンジ「ラウンジ大樹」に案内され、食事が付いている人はホットスープと飲料を無料でもらえます。水とお茶はものがたり列車に持ち込み可なのでそのまま持ち込めます。お金の無い四国が気合いを入れてラウンジを作ったのは琴平駅で料理運び込みが行われますが、その風景を客に見せない為の配慮でしょう。

この金の畳に座れるのかはよく分かりませんが、豪華すぎて座っている人はいませんでした。このラウンジは、千年ものがたりに乗る権利を持つグリーン券を持っている人であれば運転日に限り利用でき、ソファもあるのでゆっくり休む事ができるでしょう。

琴平駅に降りる時には既に絨毯が敷かれていました。ものがたり列車の運転士は丁寧な運転は勿論ですが、どこで起きるか分からない突発的な沿線の見送りに応じて減速しつつダイヤの範囲に収める点で高度な技術が求められるのは言うまでも無いでしょう。

カウンター席が用意される2号車と、大人数推奨の3号車にお邪魔してみました。このような雰囲気となっており、かなりお洒落で上質感は高いですね。大物ユーチューバーがドヤ顔できるグリーン個室は用意されていません。

車内で頼めるメニューも充実しており、ビールやケーキ等、普通の喫茶店と同じぐらいのメニュー数を誇っています。支払は現金・ペイペイ・ラインペイが使えます。頼むタイミングが分からず乗っただけで終わったという人も過去にはいたようですが、運営側の最適なタイミングで「ご注文がありましたら承ります」のように声掛けがされるようになりました。

琴平駅を出発すると見送りがあり、頼んでいたみかんジュース(450円)が届きました。香川県産のみかんですが、濃厚で美味しいですね。

琴平駅でメイン料理が運び入れられ、発車後テーブルに配膳されます。時期によってメニューは変わりますが、讃岐オリーブ地鶏・オリーブ牛等の高級料理となっています。ふた付きで提供され、蓋を開けた後はアテンダントが料理の内容を説明してくれます。クリアでみずみずしい食感で美味でした。高級店と言えば入りづらく厳粛な雰囲気ですが、お金さえ払えばカジュアルな服装で高級料理を味わえるのがものがたり列車の魅力という事で、定期的に変わる高級料理を気軽に食べられるという点で毎月乗っている人もいるようです。全国の観光列車の中でも肩に力を入れず実家に帰る感じで誰でもフラッと乗れるのは大きな魅力ですね。

秘境駅「坪尻駅」に10分ほど停車します。毎日使う客が1人しかいないとネットでも話題になっていますが、1人の割には綺麗に整備されていると感じました。周辺と比べ気温が違うのか、なぜかここだけ紅葉となっていました。暫く停車するので列車の写真も撮り放題です。

あいにくの小雨となっていましたが、アテンダントが日付入りのプレートを持っているので記念撮影するのも良いでしょう。伊予灘のように必死に車内を回って積極的に売り込んでくる事は無いのでそこはキャラの違いのようです。スイッチバック駅で運転台交換の為運転士が車内を通るという事で、拍手で出迎えるというイベントが発生します。

温製料理としてクリーム煮込みとバターライスが提供されます。どちらも文句なしの美味でした。この手の列車の中で客席で温製料理が提供される列車は全国で見ても数少なく、非常に魅力的と言えるでしょう。

吉野川を通過すると、バス会社のお手振りがありました。JRではない全く別の会社です。一般的に鉄道とバスはライバルと言われ関東で異業種が手を組む事はまずあり得ませんが、四国では仲が良く事業者の垣根を越えてものがたり列車に手を振ってくれるのだからありがたい物ですね。

阿波池田駅に一旦停車しますが、乗っている列車が発車標に出ていないのは良い意味でなかなか衝撃です。そろそろ旅の終わりという所で、食事付の人にはコーヒー・和三盆が提供されます。香川県では給食に出る事もたまにあり、出ると子どもたちが喜ぶのが和三盆ですね。右写真のいちじくアイス(500円)は車内で注文した商品で、別料金となります。別料金商品の代金支払は終点到着頃に一括でアテンダントが精算に来ます。

子どもたちが踏切の向こうから手を振ってくれるのはなかなか感慨深いですね。鉄道の本来の存在意義を思い起こさせる風景です。関東や北海道の閑散路線では鉄道の存在意義が薄いとして他のモードへの転換を模索する動きもありますが、人々が集まり住民の憩いの場所になり笑顔が溢れドラマが生まれ、鉄道で地域が活性化する、地域が生き返る起爆剤になり得る点で本来の鉄道のあるべき姿をものがたり列車は示しているのです。乗らないから廃止とか数字で判断するのが本当に良いのか、世の中数字だけじゃないよねという事を暗に伝えているのです。

その後も絶景区間を通過し、徳島県三好市に入ります。

大歩危駅に入線すると地元住民が熱烈に歓迎してくれます。無人駅ですが、活性化協議会がいてほぼ駅業務を担っています。活性化協議会の活動はJRより気合いが入っていて国交省の手作り郷土賞でグランプリを受賞しました。

帰りは20分ほどの接続でアンパンマン特急に乗って高松・岡山方面に戻る事ができるようになっています。ものがたり列車に乗って折り返す場合は1時間半ほど待ち時間があり、それに応じた料金券が別途必要になります。お祭り的な雰囲気ではなく、少し落ち着いた大人の雰囲気となっているのが「四国まんなか千年列車」であり、年齢層も少し高めのようですが老若男女誰が乗っても浮かない雰囲気になっているのは素晴らしいですね。車で行けない秘境駅に降りられるという点で総合的に見れば千年を評価する人も多いですが、興味のある人はぜひ乗ってみてください。