ソフトバンク社長が「スマホの1円販売は是正させて頂く」と会見で明言した。
公取も調査に入るという事で岸田政権の強い意志が出ている予感がするが、1円スマホの内訳は以下の通りだ。
定価 22,001円
値引 22,000円(電気通信事業法に基づく契約セットの場合の値引上限)
つまり元から2万円程度のいわゆるスペックが低めのローエンド端末を使った値引が横行しているのが昨今の現実である。スマホの進化は著しく、2万と言っても画面も綺麗で5年前のハイエンドぐらいの性能は十分有しているのが現実で、普段使いには全く問題無いだろう。カメラの画素数が低い、解像度が低いとかタッチの精度が低い、SoCの性能が低い等詳しい人が見れば突っ込み所は多数あるが、動けば良いという大多数の一般層にとっては何ら問題無い。また、端末契約を伴わない値引に対しては現状規制が無いのでキャリアやショップの体力の範囲で値引が行われ、今までの過度な値引は無いにしてもミドルエンドや型落ちが1円という事は当然ありうる話だろう。彼らからすれば1円で売れるならハイエンドだろうがローエンドだろうが何でも良いのである。1円スマホ規制の本来の趣旨はそれが回線獲得に使われて大手ばかりが太るのは公正な競争に反するという理由で規制された訳であるが、そういう理屈なので回線契約を伴わない単体販売での値引自体を規制する場合には新たな理由付けが必要であると言えるだろう。ネットでは「安いのは良い事だ」みたいなコメントも見られるが、大手四社ともに1円と言い出したら適正な通信会社の選択阻害に繋がり、客の通信料を販促に使って過度な競争に陥り通信会社が中身で勝負しなくなるというのはガラケー時代の10年以上前から言われている問題である。
いわゆる転売ヤーが蔓延るという問題であるが、大手通信会社は総務省から電波の免許を受け公衆の電波を使って商売している立場で民間の経済活動と言えどもある程度制約を受けるのは仕方の無い業種であり、同じ値引と言っても八百屋が傷んだキャベツを安売するのとは訳が違うのである。最低何円で販売せよという規定を設けるか、例えば回線有/無に関わらず全ての値引上限は当初販売価格(発売日価格)の50%以内というようにすれば、ハイエンドやミドルレンジ等のクラスに関わらず平等に適用できローエンドを使った1円スマホは消滅するだろう。転売ヤーも50%なら利益が出ないので消えていくのは間違いない。1円がダメなら10円・100円なら良いでしょというモグラ叩き状態にならないような制度設計に期待したい所である。
