マスク非着用のバス乗車拒否で事業者処分、国交省炎上「撤回すべき」声多数

静岡県内のバス事業者において、マスクを着用しなかった客を無断でバス停以外の場所に停車して降ろした行為が道路運送法違反に当たるとして、国交省中部運輸局はバス2台を25日間の車両使用停止処分にしたと発表した。
(運送引受義務)
第十三条 一般旅客自動車運送事業者は、次の場合を除いては、運送の引受けを拒絶してはならない。
一 当該運送の申込みが第十一条第一項の規定により認可を受けた運送約款によらないものであるとき。
二 当該運送に適する設備がないとき。
三 当該運送に関し申込者から特別の負担を求められたとき。
四 当該運送が法令の規定又は公の秩序若しくは善良の風俗に反するものであるとき。
五 天災その他やむを得ない事由による運送上の支障があるとき。
六 前各号に掲げる場合のほか、国土交通省令で定める正当な事由があるとき。
バス業界ではバスの使用停止処分は良くある処分で、法人や個人を狙い撃ちした処分では無い見せしめ的な処分なのでこれで行けると思ったのだろうが、案の定国交省が炎上する事態となっている。趣旨としてはバス事業者のやり方が正しく、それに対して処分を出す国交省がおかしいというロジックである。むしろ感染症が蔓延している現在においてはマスクを付けない方が公の秩序に反するだろう。
原則すべての交通機関、あるいは旅館・ホテル等については来た客を断ってはならないという規定がある。しかし、感染症初期にマスクを付けない客が飛行機内で暴れ回る騒動が発生し事業者による呼び掛け等が強化された。飛行機では航空法により、またタクシーではタクシー事業者からの申し出により、さらにホテルでは旅館業法・鉄道では鉄道営業法により感染症の疑いがあるような場合は法律に基づいた毅然な対応が取れるようになっているが、バスについては法規定が無いのでその抜け穴を突かれ法律を恣意的に解釈され処分が出た形である。
バスは公共交通機関だからどのような客であっても乗車させる事が大事でありマスク非着用だけを理由に客を締め出す事はあってはならないというロジックで処分を出したのだろうが、航空法のように運転手の権限で降ろす事が出来るというような法律が無いのであれば作るべきであるし、「マスク非着用客を降ろしたのは違法」という事であれば中部運輸局管内ではマスク非着用でバスに乗ってもOKという解釈も出来る訳で、どちらにせよ運送を拒絶した一辺倒の前に周りの客がどのような思いをするかという部分についても国交省は考えるべきであろう。