岸田政権もそろそろ1年経つのかもしれないが、ある事が見えてきた。相手が1社・1人の場合は滅茶苦茶早く動くが、相手が多数の場合は動かないという事だ。例えばKDDIの障害でもものすごい初動能力を発揮した。磐越西線・米坂線の線路崩落についてもJR東は当初「バス代行輸送は行わない」としていたが急遽実施される事になり、9月の授業開始に合わせて増便が図られる異例の対応となっている。特に「だれそれが悪い」系の対応はものすごく早い。
岸田政権が苦手なのが災害対応・感染症対応であろう。相手は見えない敵であり実物が存在しない上、緊急事態宣言や蔓延防止措置となれば380万社超の企業に影響を与える事になり、1741ある自治体の業務にも影響を与える。これだけの数があれば全員に上手く伝わらないのは明らかであり指示を出しても背く人達も居るので何もしないのが賢明と考えたのだろうが、「自治体との調整が得意」とした菅政権では違った。菅政権は反対派に叩かれながらも必要な時には政府の責任で行動制限を出し、ワクチン100万回/日を打ち出し、波を急激に下げる事に成功した。例えば2021年10月17日の都内の感染者は40人であり、ワクチンの効果である事は言うまでも無いだろう。国民の中には反対派もいたので定かでは無いが、少なくとも自治体や医師の中では今のように分裂する事も無く「ワクチンをやれば収束に向かう」という強い目標や信念を持って皆が取り組んでいたように見える。全数把握廃止サーフィンに乗っかると言っていた神奈川県知事が乗っからないと急転換したのは笑った所であるが。
岸田政権は分類を変えて風邪同等にすれば政府の支出が減るとか全数把握を辞めれば云々等として、解釈を変えればこの感染症は収束するという姿勢を取りつつありその部分だけを切り取れば国民から見て聞こえは良いのかもしれないが、それは正面から取り組んでいる訳では無く逃げているだけに過ぎない。症状だけを見れば風邪のような人も居るだろうが、重症になったり後遺症が出たり死亡したりする人も居る訳で科学的な解明がされていない以上風邪と同様に扱うのはまだ時間尚早では無いだろうか。いざ突き放されて全部セルフでどうぞとなったら今度は逆に国が面倒見るべきとか言い出すのは目に見えている。殆どの医師が岸田政権を叩いているのはこの部分を瞬時に読んだからだろう。クルーズ船の政府の初動が遅れたからこのような惨劇になっている訳で政府はしっかり責任を取るべきであり、いつまでも税金で対処する訳にはいかないという部分も理解出来るが実質何かをしている訳でも無くソフト面の解釈だけを変えてこの感染症騒動を終わらせる姿勢が果たして適切なのか国民の更なる議論が必要と言えるだろう。
