KDDIの障害を受け、ドコモとソフトバンクが障害時の通信融通(ローミング)について検討を開始すると報道があった。鉄道でいう振替輸送のようなものであり早急に実現すべきと当方も述べていたが、ようやく議論の俎上に載った事になる。KDDIの行政指導と同時にこの報道が出てきたので、指導する部分は指導するが建設的な部分も取り入れるという事になったのだろう。
3G時代はKDDIがCDMA2000、ドコモとSBがW-CDMAという全く異なる電波方式を使っていた為ローミングは絶対不可能であったが、現在の5Gは三社とも大元は同じLTEであり、細かく周波数やバンド帯を分けているだけに過ぎず理屈上は明日からローミングするような事も可能である。しかし基地局がキャパに耐えられるか、あるいは大元のサーバーが耐えられるかという部分については検証が必要な部分も否めないだろう。
マスコミ報道では「KDDIの障害のためにドコモ・SBが検討」みたいな感じでKDDIの障害のための対応みたいなニュアンスであるが、大手三社が全てローミングに対応すれば例えばドコモがコケた時はKDDI・SB、SBがコケた時はドコモ・KDDIみたいな感じで疎通している会社が手を差し伸べる事が可能になり、お互いの障害リスクを低減できる点でプラスになる事は間違いないだろう。ちなみに当のKDDIは障害復旧中の記者会見でローミングについて問われ「色々課題はあるが総務省が音頭を取ってもらえれば」と技術上は可能というニュアンスの回答をしていた。
料金をどうするのかという課題は残るが、料金と言っても大手三社横並び状態なのだから議論するまでも無い訳であり、障害を起こした会社が支払うというオペレーションにすれば良いだけである。ユーザーにとって緊急時は繋がれば何でも良い訳であり、その中身がドコモの回線か、SBの回線かという事を気にする人は皆無であり早急に実現に向けて議論を進めてもらいたいものである。
