横断歩行者等妨害等違反の線引きは?ネット炎上多数で警察庁議論すべき

横断歩行者等妨害等はここ最近取締りが急増しネットで炎上の嵐となっているが、その理由はJAFが毎年のようにランキングを公開し警察庁が取締強化の指示を出しているからである。このランキングは2016年から出始め、取締り強化もほぼそれと同じ時期なのは明らかであり警察庁も細かい基準を示さず強化しろという命令しか出していないのだろう。東京はランキングで割と下の方なので焦っているのかもしれないが、歩行者が大多数、かつ歩行者や自動車共に人の入れ替わりが激しい状況ではいくら取り締まってもあまり意味はなく東京の土地の特殊性を考えるといくら取り締まってもランキングを上げる事は極めて難しいと言えるだろう。

警視庁と違って他の県警では取締り一辺倒では無く違反を防ぐ為の啓発活動が多数実施されており、取締り一辺倒で件数だけを評価するのでは無く政府はこのような人情味ある取組みやイベント等もきちんと評価に加えるべきであろう。そして仮に取締りする場合に多くの警察は「現場判断」としてあくまでも現場の警官が違反と言ったから違反なのだという趣旨の発言を繰り返しているが、それならば全国統一かつ誰にでも分かる明確な基準を示さなければならない。多くの警官は「横断歩道に人がいる状態で進行したら違反だ」「譲られても違反だ」と述べているが、横断歩行者等妨害等の条文を読むとそのような事は一言も書かれておらず法律を恣意的に解釈しているとしか言いようが無い。仮に歩行者が完全に居なくなるまで待てと言う事であれば、都内の横断者が多いような道路だといつまでも歩行者が途切れず朝から晩まで横断できないような地点が多数に上るのは言うまでもない事実であり、本当に歩行者を守りたいなら信号を設置するのが警察の仕事である。
条文には「横断している、または横断しようとしている場合には一時停止してその通行を妨害してはならない」と書いてあり、横断歩道に人が居れば全て違反という事にはなり得ないはずである。人が居ても横断しないケースも考えられる訳で、警察はこの取締を行う際には歩行者に渡る意志があったのか、妨害されたと感じたかどうか聞きに行くべきである。そして横断しようとしていた場合であっても歩行者が譲る意思を示した場合には通行妨害には当たらない訳であるから横断歩行者等妨害等の構成要件には当てはまらないと考えるのが自然であろう。
今回の弁護士の動画については警察側も見ていると噂になっているが、政府や警察庁は今回の件を受けて同様の事態の発生を防ぐ為にどのような場合が妨害になるのか、又どのような場合は妨害にならないのかに関して全国の全ての警察官に具体的な事例も含めて通知を出すべきであり、現場で取締を行う警官の末端までその知識を浸透させる必要があるだろう。例えば前車が停止したのに横から追い抜いたとか対向車は停止したのに停止しなかったとか、歩行者が手を挙げているあるいは横断歩道の中央付近に居るのが明らかな場合に減速等の動作を行う事なく誰も渡らせずノーブレーキで突っ込んでいき横断歩道での安全確認を怠り事故の危険性が高い場合には違反とするような明確な運用基準及び取締基準を示すべきである。歩行者が譲られたドラレコ映像を持っている方は違反を取り消しますとか全国規模でやれば政権の支持率が爆上がりしそうだが、おそらくそのような事はやらない可能性が高い。いくらJAFが毎年ランキングしていると言っても法律条文通りの取締り活動等を行ってもらいたいものである。