ヤフーニュースにおいて元警察官を名乗る人物が「速度1km/hオーバーでも法的にはアウト。切符と厳重注意の境目は?」みたいな記事掲載を行ってネットが炎上状態になっている。
このテーマはいつも炎上する訳であるが、炎上する理由は簡単である。免許を持っている人vs持っていない人論争、あるいは車を運転している人vsしない人論争になるのである。免許を持っていない人からすれば速度と言えば電車でGOをイメージする訳で、スマホでポチポチやって速度調整、みたいな感じですぐに調整できると思っている人が多いはずである。ゲームの中では1km/hオーバーでもペナルティとしてゲーム時間が10秒ぐらい引かれてブレーキ踏んでも速度が落ちず位置がずれてオーバーランする訳だから速度は断固厳守すべきという論調になるのは仕方ない所であろう。電車の世界もゲームと同じであろうが、電車と自動車は勝手が違う訳でありゲーセンにあるレーシングマシンをプレイしてみると感覚が分かるはずである。
しかし車を運転する人からすれば、速度を簡単に調整する事は困難であり、アクセル操作だけで1km/h単位で細かく調整する事はプロドライバーでも不可能だ。免許教習で路上に出てみれば分かるが、アクセルを踏むとすぐに50、60出てしまう。そしてブレーキを踏み始めてから完全に停止するまで3~5秒ほど掛かる。自動車は速度を落とすよりも速度が上がる時間が早くなるように設計されているのだ。また流れに沿っていないと煽られるという問題もある。電車と違って脱線もせずタイヤで止まるので1km/h単位で守るべきという議論は不毛であろう。
もう一つの問題として、最高速度は多少余裕を持って保守的に見積もられている。一応流れを基準に決められるようであるが、流れの8割ぐらいになるように基準が定められて決定される。ある意味では雨の日でも安全に、その道を知らない県外民等、誰が走っても安全に走れるのが最高速度だろう。15km/h超過で捕まるみたいな話は定説として有名であるが、75×0.8とすれば60km/hなので概ねその辺が取締りラインなのだろう。警視庁は20km/h超過から捕まえるみたいな話も聞くが、道路幅的にも60で走れる道路を40にしてそれで5km/hオマケされてもという人が多いだろう。
建前上は1km/h超えたら違反になるのだろうが、信号無視や一時停止や飲酒・大型積載超過等の他の道交法違反も見なければいけないのでそれで捕まえる警察は存在しない。なぜならそれだと全員違反でサイン会場が即満車になりマンパワーが足りなくなる上、タイヤの大小や空気圧でメーターが示す速度と実際の速度は変化するからだ。誤差は最大5km/h程度になる事もあるので、それを考慮しても1km/h超過で捕まえる事はないと証明できるだろう。例えば15km/h超過で捕まえる警察が存在するとして、小学校の目の前のゾーン30を45で走る車両と人や家もないただの畑の40道路を55で走る車両があるとすればこれはどちらも捕まる訳であるが、前者は危険であるが後者は比較的安全であり事故しても畑に落ちるだけで問題は少ない。50の幹線道路を65で捕まったとしてもこれも危険性は低いと言えるだろう。本当に1km/hアウトで運用されたら全員車に乗らなくなり誰もが車を手放して国の税収は大幅に下落して自動車産業全体が多大な影響を被る事になるのは間違いない。この問題はいつも炎上するテーマであるが、当方は前述のような経緯を考慮して危険な部分のみ取締りすべきでありその空いたリソースを飲酒検挙や大型車積載超過検挙に充てるべきというのが持論である。例えば一般道で30km/h超過、高速で40km/h超過した状態で1km程度追尾してもその違反行為を継続するような明らかに速度標識や周りを見ておらず事故に繋がる危険性が高いような人を取締るのであれば分かるが、予告看板等も無くいきなり光電管を仕掛けて畑で15km/h超過しましたね?みたいなやり方は国の信頼を損なうと言っても過言ではない訳でこのような無慈悲かつ下劣極まりない取締方法は改めて頂きたいと思うのが多くのドライバーの本音であるというところだろう。
