ネット上で色々と物議を醸しているファミマのツナマヨおにぎり(税込118円)であるが、おにぎりの中で最安値は勿論の事、弁当・サンドイッチ・パスタ・総菜の中でも一番安い商品である。100円のパンとかには負けてしまうが、これらを除けば中食全体で最安値と言っても過言ではないだろう。
当該番組での展開を改めて振り返ると、炎上したシェフは、皿からおにぎりを手に取り、手でベタベタ触りながら2~3回転させたのち結局口にせず皿に戻した。顔は怒りの表情に変わった。その後各ブースの「なぜ食べない?」みたいな煽りテロップが表示され、司会が「なぜ食べないのでしょうか?」と促すと「ビジュアルが食べる気にさせない」等の文言を発してスタジオ全体が絶句し「そんな事今まである?!」等の煽り文言がさらに追加され、本部社員の映像に切り替わり「食べて頂きたいのですが」と懇願するとご飯の部分だけ食べて不合格を出したという展開である。きちんとフォローしていたという意見もあるがあまりにもマイナスが大きすぎて埋めきれなかった視聴者が多いはずである。
118円という価格の中にはお米の生産者、製造工場、配送ドライバー、品出しする店員等全ての方々の熱い思いや熱いハートが詰まっている訳であり、その価格で提供できる企業努力を認めているからこそ消費者が食らいついて炎上したのは間違いない。この番組で不合格にさせられる食品も必死になって作っている人達がいるのだ。1万円のおにぎりなら炎上しなかっただろうが、118円だからこそ炎上したのである。この一連の企画に影響を受けた子どもたちが給食を「ビジュアルが食べる気にさせない」と言って余しても良いのだろうか。そういう意味で上記展開が放送法の「健全な民主主義の発達に資する内容」かどうかは議論すべき部分であろう。
放送法 第一条 この法律は、次に掲げる原則に従つて、放送を公共の福祉に適合するように規律し、その健全な発達を図ることを目的とする。
一 放送が国民に最大限に普及されて、その効用をもたらすことを保障すること。
二 放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の自由を確保すること。
三 放送に携わる者の職責を明らかにすることによつて、放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること。
良くも悪くもこの番組で食べ物の有り難みを再確認させられたという人も多いはずである。食品ロスを減らそう、食べ物を無駄にしないようにと訴えている農水省も何らかのコメントを出すべきであり、「食べ物を見た目だけで判断するのは良くない」「出された物は最後まで食べましょう」「肘をつかずに食べましょう」と訴えるべきである。農水省までダンマリを決め込んでいたら国は今まで何をやってきたのかという事になる訳で、何らかのコメントが出される事を期待したい。
