ゲオがコンビニに「GEO-YA」という屋号で参入したという情報が入ってきた。参入したと言うよりは実験店舗扱いであるが、それでもレンタルビデオ屋がコンビニ店舗を出したという意義は大きい。都内に2店舗出したが、そのうちの1店舗が都内の蓮根駅の近くにあるという事で、実際に行ってみた。その店舗は、蓮根駅から歩いて徒歩2分の距離にあった。どうやら駅近立地で近隣住民や通勤客をターゲットにしているらしい。非会員でも入店や商品の購入はできるが、年会費500円の会員になると会計価格から1割引というのは他社コンビニにはないウリである。「食品ロス削減の為」として賞味期限の近いパンや中食等は置かず、お菓子を中心に品揃えしている。
左写真が蓮根駅。ここを左に2分ほど歩くと、右写真のような店舗が見える。これが「GEO-YA」だ。蓮根駅の向かいの場所にファミマがあるので完全にファミマのライバルという事になる。
正面入口はこのような感じだ。ぱっと見GEOの店舗デザインをしているが、あくまでも食品小売店舗、いわばコンビニだ。コンビニと言っても普通のコンビニのようにATMやコピー機等はなく、飲食料品を売っている店でしかない。なぜか酒等の免許品も置いているあたりがゲオらしいと言えるだろう。他社コンビニの食品・免許品販売部分の売上を根こそぎ奪おうという策略なのかもしれない。
キャンディーやポテト等、オフィスでのつまみ食いに適した食品等が並べてある。単価も安めで、いわば地域のお菓子屋さんといった印象だ。面積はコンビニの3分の1ほどであり、いわば子どもの頃に通った個人経営の駄菓子屋の広さをイメージしてもらいたい。しかも4月から義務化される総額表示に対応し、税込価格(8%)のみの表示となっている点も素晴らしい。
アイスはコンビニでは扉のないオープンケースが主流であるが、なぜか個人商店を模した古めの什器を採用していた。古い什器の方が安かったのか、はてまた個人商店感を演出したかったのかはよく分からない。ドリンク等は冷えた物が陳列してある。
10円や50円等といった子どもたちが好きそうなキャンディも多く品揃えしている。会計は全てセルフレジとなる。酒等の免許品を買わなかったのでその場合はどのように会計するのか不明だが、おそらく裏から店員が出てきて認証するスタイルなのだろう。セルフでのコーヒーマシンもあるようだ。セルフレジは他社コンビニのレジに比べても直感的で操作しやすく、会員カードを持っているか持っていないかを最初に聞き、その後商品をスキャン、バーコード決済や電子マネー等各種決済方法で決済できる。iDでも支払えた。常駐社員は基本1名のようで、セルフレジ運用により少人数での店舗運営を可能にしているようだ。勿論の事だが、揚げ物・中華まん・おでんと言ったファーストフーズ類は扱っていない。
表向きは「食品ロス削減への挑戦」等としているが、本音はコンビニ大手三社への宣戦布告だろう。廃棄ロス殆ど無しで飲食料品にプラスして酒等を売ればコンビニ客の殆どの需要を満たす事ができ、それでいて店舗収益も大幅に向上する。新たなフランチャイズチェーンが誕生するかもしれない。大手三社だといくら狭小店と言ってもこの狭さは拒否されるだろうが、その隙間を縫って商売するというゲオの心意気は評価したい物だ。確かに個人商店はこれぐらいの広さで経営している店舗も多く、人通りの多い駅チカであれば狭くても売上が立つかもしれない。狭くても開業できるので賃料を安くでき、建築費も安く済む。もし売上不振で撤退や移転するとなっても損失を小さくできる。ネットの普及に伴いDVD等のレンタル市場が下降を続けている中、将来的なフランチャイズ化を見据えて「不況の勝ち組」とまで言われているコンビニ事業に目を付けたのは正しいだろう。現に感染症の影響にあって飲食等が軒並み大打撃を受ける中、全体として殆ど下落していないのがコンビニ業界なのである。これらに対してコンビニ大手三社はどのような対抗策を出すのか、それともスルーするのか、今後の動向に期待したい。
