川勝知事とJR東海社長 県庁でトップ会談「トンネルは掘りません」明言

静岡県内の着工が進んでいないリニア問題について、川勝知事とJR東海トップ金子社長のトップ会談が行われた。

会議は全面公開で、YouTubeで生中継されているので誰でも見る事ができる。
最初はJR東海社長がしゃべって静岡県知事が聞くスタイルのようで、最初に東海社長が有識者会議の不適切な発言について謝罪した後、リニアについての意義の説明を始めた。流域市町の首長さん達と会議を持たれてその内容も伺っているとして、「東海は水を大事に思ってくれてるのか」「自分たちの水に対する心配や思いを分かってるのか」「今ヤードの建設を始めさせてくれと言うのは違うんじゃないか」など厳しい意見があるとし、説明したつもりでも十分伝わっていない現実にはしっかり受け止めて対応したいとした。「なぜリニアが必要か」という事については、東海道新幹線のバイパスが必要、地震が起きたらどうしよう、災害が起きたらどうしよう、老朽化への対策、抜本的な対策はもう一本作る。500km/h出るので日本経済にとって大きなインパクトになる、東京から名古屋まで1時間で結ばれる重要性、国際競争力を維持して強める事が期待されている。各県の発展のために足並みを揃えて国交省から工事認可を受けて行っている物で一企業の利益のために行っている訳ではないとした。なぜ南アルプス工区は急ぐのか。知事が過去の発言で「途中からやり始めればいい」と言っていたが、地上なら突貫工事で色んな所から作ってグッとできるが、トンネル工事は片方から掘り進める事しかできないとして理解を求めた。トンネルを掘るのに65ヶ月かかるので今始めて2027年の年末にギリギリ間に合うかどうかだとし、「トンネルは有識者会議の結論が出るまでは掘りません」「なし崩しで掘る事はありません」と断言した。どこまでが準備工事か、どこまでが本体工事かという議論については「トンネルを掘るのか、掘らないのか」でご理解頂きたいとした。ヤードの工事について承諾頂きたいのが今回の趣旨とし、「沿線の方たちとも足並みを揃えたい、リニアは必ず大きな効果を生むと確信している」とも説明した。
その後、静岡県知事が発言した。「金子さんは日本の大動脈を支えている責任者ですから、私どもの、はいどうぞ。大井川の水で作られた牧之原台地のお茶です。宮中に献上致しました」としてお茶を飲むように促した。
「まずですね、社長から水の問題を疎かにしていないという事を聞いて、大変安心いたしました。大井川は越すに越されぬと言われていたが、稜々たる水量なんですね。60万人の方の命の水となっております。渇水がしょっちゅう起きておりまして、例えば平成30年、147日間の節水をお願いしている。平成7年ですと179日です。地下水は利用している事業所が430あります。そこに1,000本の井戸を掘っております。実はそのうちの一つが伊勢志摩サミットで使われた磯自慢ですけど、こちらにあるのが牧之原の今年の献上茶。磯自慢は1本10万円するものです。プレミアムが付いて数十万円するものです。これが豊かな地下水によって育まれている。工事によって必ず戻す、一度失われた水は戻らない。失われた水で枯れ上がって牧草地帯になって戻ってこない、そういう経験があった。本当静岡の人は大人しいです。そういう大人しい人達が後ろ盾立ててやったと。水の問題について私は流域市町、静岡県民、井戸水に頼っている全国の方達と同じ思いを持っているので、トンネルを取るか、水を取るか。そう考えれば結果は分かっているので、よっぽど注意してやってもらいたい。
しかし社長が言うように、1964年、東海道新幹線が開通して日本が技術立国になって、その10日後にはオリンピックをやった。これを抜きにして日本の経済は成り立たない。そうした中でリニア新幹線、日本の技術で作ったと。私は乗りました。中国がひょっとしたら欲しいというかもしれん、止めてくれといわれて”決してリニア新幹線は技術移転等しないように。日本の技術の成果”と言った事もあって、私はこの計画には全面的に賛成です。ルート、どこを通るのか。土をどうするのか。つまり私は水の問題について2011年現在、本当に知りませんでした。一方で、今はその水が重要なのを知っております。私は反対ではありません。雪が降っても雨が降っても、空飛ぶ地下鉄。だからね、そういう意味では社長が仰るように夢がある物です。ただそれをどう両立させるか。南アルプスの水を失われないようにどうするか、それを今有識者会議でやっておりますが。エコパークは生物が生きている証ですから国策なんです、環境省の。リニアも国策。環境を守るのも国策。両方をいかに両立させるかを考えないといけない」
社長「その通りで、リニアをとるのか、環境をとるのかと言われちゃうとその話の収まりどころがなくなって、『環境の事考えてないのか?』と言われるとそうでは無いですよと言ってるのですが、リニアの声を大きく言ってる訳では無いんですがそういう風に受け取られがち。環境の保全をしながらやらないと認可を受ける時も当時の大臣から工事の安全も大事だ、環境の保全も大事だ、地域の連携もやってくれ、というのが認可の条件。あれかこれは、ではなくて両方、という話なんだと思います」
知事「私も工事現場に行きました。そこで働いてる人は実に立派です。私も車がパンクしましたので副社長に舗装するように言ったら改善されていた。台風や山崩れや、そういう状態でしょう。今工事ができるかというのは現場を見れば分かりますが、150人全員が静岡県民。上から石が落ちてきたら救急車入れない、ヘリコプターも入れない。安全というのは本当に重要。険しい、生きた自然を実感できる南アルプスの谷で過酷な仕事をせざるを得ない」「他県でも用地買収訴訟が起こっているのに、なぜ静岡が2027年開業の足を引っ張っているかのように言うのか」
社長「なぜ静岡を急ぐかは先ほども説明したとおりで、地上の話はまだ切羽詰まってないんです。トンネルは掘り始めたら6.5km掘らない事には終わらなくて、それだけで5年掛かってしまう。一番最初に締め切りが来るという切迫感から是非ここは早く着手をしたいという事で静岡の事については早く着手をできないかと申し上げているだけで」
知事「長野県や相模原などでもマンションの立ち退き問題が起きている。リニアは水問題だけではない。学校の試験でも不得意な物は後で、得意な物先にやるとか。0点か、100点か。日本の技術を世界に見せるやり方はオリンピックなわけですね。東海道新幹線も頑張った訳でしょう、リニアもルートが決まりました。それから数年後に東京オリンピックが決まった訳です。それについて、リニアを何か宣伝に使う考えが出てこない、南アルプスのエコパークとか。とりあえず国策、2027年開業が方針、それ以外は考慮に入れないでただ決まったので従ってくれだけという」
社長「オリンピックがあればですね、世界の方が日本に沢山お見えになる。リニアはどこでも作れる物ではなくて、アメリカでは計画が進んでます。大きな都市を結ぶ。車社会の人達にはぴんと来ない。既存の新幹線ですらこんないいものがあるのか、という所なのですが、山梨の実験線で乗って頂こうと思っていたのですが、オリンピックの延期の件で神出鬼没になりました」「今回ご了解を得られないと2027年もうダメか。という事になってしまって。他県の責任もありますし、残念だなという事で」
知事「一つはね、東京から名古屋、大阪結んで初めて屈指の大都市を作るという事で。この構想自体が感染症の影響で新幹線や飛行機乗らないのに誰がリニアに乗るのか。大阪まで2035年でしょう、そんな事言ってるうちに首相もオンラインを進めると。申し訳ないけどオンラインのほうがリニアより早い訳ですからね、ビジネスモデルがどうなるのか。私は日本の技術者を信じている。ただし新しい時代に即応した物でなければならない。ヤードは環境保全の県の条例があります。5ヘクタール以上になると協定を結ばなければならない。5ヘクタール以内だから協定無しで、どうぞ。働く方の安全を確保するとか宿舎とか認めてきました。5ヘクタール以上になると協定を結んで頂く事になります」
社長「前に下準備を相談した事で、それはすぐに準備します。一番は知事のご了解なんですよね」
知事「最大の理解を求めるのは国民であると。透明性に欠けるやり方については改善すべきだが、金子社長のリニアにかける日本の新しい時代を開く技術。これはなるべく多くの人に知ってもらった方がいい。あの会議は北海道から沖縄までみんなに知ってもらった方がいい。この部屋は開かずの扉。私が開けると言った。10年間そうやってるんですよ。秘密の事は一切やらない。ただし人事の時は閉めます。公開は一番の民主主義の基本。国交省がJRに指導と言いながら命令として無礼な事をやってるのは許さない。ぜひですね、運命共同体ですよ。一緒にね。静岡県の生活も成り立たないので。一緒にやろうと。まずはあれを公開すると、是非富士山一周やってもらいたい」
社長「そこは力強いんですが。2027年にできたいなと節目を。有識者会議の進捗を待たなければゴーサインは難しいという事で受け止めればよろしいんでしょうか」
知事「トップクラスの技術者が全量戻すのが難しい、という判断をなさったらどうなさいますか」
社長「仮という話は難しいですが、有識者会議の先生も幅の広い議論をしてもらわないと。行政単位なのか、もっと大きい単位の中で、どうやって戻して、大井川の水を使っている方が困らないようにする、そっちの方が何とか大切で。そこまで色々考えて手当をして準備をするのであれば、やっていいよと言ってくれるのを望んでいます」
知事「予期せぬ事も起こります。自然をバカにしてはいけない。断層帯を掘りますからね。仮にそういう知見でできなかった、戻せないとなった時に社長さんはどうされるんですか、やめるんですか」
社長「やめないと思います」
知事「私はやめると思います」
知事「仮に掘れない、水は戻せない、水質は悪化する、残土は崩れる、生態系はやられる。その可能性が50:50だったらどうしますか」
社長「それは・・・そういう方向の考えでは私はなくてですね、何とか乗り越えなければならないと思います。何とか乗り越える技術はある。楽観的という話ではなくて、ポジティブな形でそれを乗り越える技術はあると私は信じてるので。有識者会議で素晴らしい先生に参加頂いてて、全然ダメだよという話ではなくて、これは乗り越えていきたい。ポジティブな気持ちでいますので」
知事「国交省はこれありきというように見える。これは公僕とは違うなと。権力者みたいな。これは我々は国民のためにやってる訳です、一緒に。リニアの技術を世界に見せる、危機管理にも役立つ」
社長「知事ときっとやり遂げるという気持ちを。ヤードの件をご了解頂けなかったのは残念ですが」
知事「条例を作ればいいんです」
社長「条例を作ればいいんですか?」
知事「1ヘクタール以上でもできますから。活動拠点工事という事で」
社長「条例自体は常識的な条文が並んでいる条文で、実質的にその環境、それとは別次元という環境なんですが」
知事「5ヘクタール以上になると自動的に委員会をかけて認可を得ると」
社長「それはお伺いした方がいいんでしょうか?ははぁ」
知事「活動拠点を作ってる訳ですから、その方達に必要な環境整備とか。ボーリング調査も静岡県側はやってない。地質を調べるためにそれなりの平地を作ってボーリングしないといけない。そういうのはどうぞやってくださいと。あれかこれかではなくて、本体工事とは別個としてやれば、一つ一つ納得してやっていけば、頭からどうとか、頭からそんな話ではありません」
社長「分かりました。早急に手続きの問題であるならば、私の実務の方から問い合わせして、早く進めたいのですが、実質的な審議が必要という物ではないのでしょうか?」
知事「条例というのはね、守るべき、準拠すべき物。ヤードに関わる事でクリアされると」
社長「ヤードは掘ったりしませんので。準備をするだけですので、ご納得を」
知事「分かりました。私もあなたの立場なら同じ事を言うと思います」
社長「また是非こういう機会を持って頂ければと思います」 14:52に予定時刻を22分オーバーして終了
了解が得られたのかどうかはハッキリしていないが、条例を作るという点で前に進めるという事で話は決着したようだ。