京アニ容疑者なぜ今逮捕? 感染症は建前で誹謗中傷問題と関係も


京都アニメーションの放火事件の犯人が、27日逮捕された。現在も自力歩行は不可能であるが、会話ができる程度にまで回復したため逮捕したという。治療自体は去年秋頃には終了していたので、その時点からであればいつでも逮捕できる状態であった。しかし世論の落ち着きを待った可能性が高い。建前上「緊急事態宣言が解除されたため」としているが、それよりも安倍総理の支持率回復のダシに使われた可能性が高い。
今回の事件は犯人自身も9割やけどという重症となっている件を踏まえて府警は今回の容疑者に対して特例の配慮をしており、逮捕して国民が騒ぎ始めるのは避けなければならない。味方になったのがここ数日での誹謗中傷問題だ。政府が誹謗中傷を厳しくすると言って芸能人が軒並み法的対応を示唆、ネットのアカウント等を消す人が続出した。被害の人数等を考えると世間の注目を集めた事件故に犯人の人権等を否定するような書き込みが出てくるのは言うまでもない。あらかじめ抑止力を加えておけば逮捕しても問題ないと考えて逮捕したのだろう。
○速やかに処理すべき → 無理
ネット上では「速やかに処分を」などと書き込んでいる人がいるが、日本は法治国家であり、海外のように何人殺したから即、というような事はできない。それがどのような事件であったとしてもだ。本当に罪を犯したかどうかは裁判によってのみ確定し、それまでの間は「容疑者」「被疑者」であって人権もある。刑事訴訟法に従って粛々と手続きが進められるのみであり、我々が口を挟む立場にはなく裁判所の判断を待つしかない。
○裁判の結果は明らか → 逆に時間が掛かる
今回の事件の場合、裁判をしても結果は明らかだというのはごもっともではあるが、被害者の人数が多い事、自力歩行が不可能で介助が必要なほどの重症を負った容疑者の場合は逆に時間が掛かる可能性が高い。刑事訴訟法には以下のように定義されている。

第三百十四条 被告人が心神喪失の状態に在るときは、検察官及び弁護人の意見を聴き、決定で、その状態の続いている間公判手続を停止しなければならない。但し、無罪、免訴、刑の免除又は公訴棄却の裁判をすべきことが明らかな場合には、被告人の出頭を待たないで、直ちにその裁判をすることができる。
○2 被告人が病気のため出頭することができないときは、検察官及び弁護人の意見を聴き、決定で、出頭することができるまで公判手続を停止しなければならない。但し、第二百八十四条及び第二百八十五条の規定により代理人を出頭させた場合は、この限りでない。
○3 犯罪事実の存否の証明に欠くことのできない証人が病気のため公判期日に出頭することができないときは、公判期日外においてその取調をするのを適当と認める場合の外、決定で、出頭することができるまで公判手続を停止しなければならない。
○4 前三項の規定により公判手続を停止するには、医師の意見を聴かなければならない。

つまり、被告人が病気等の場合で公判手続きに耐えられないと判断すれば公判手続が停止するのだ。代理人の出頭が可能と書いているが、できるのは法人、あと個人でも3年以下の懲役、禁錮、50万円以下の罰金の場合のみ代理人の出頭が可能であり、それ以外の場合は本人が法廷に出席しなければならない。例え逮捕しても裁判がいつになるかは未定で、例え始まったとしても結審まで5年ぐらいかかる可能性は極めて高い。
○本人も同じ目に合えば → 即裁判終了し実態解明がより困難に
「中途半端に生かすぐらいなら云々」という意見があるかもしれないが、刑事訴訟法では被告人が死亡すると公訴が終了するという文面が書かれている。つまり起訴すらできないのだ。
第三百三十九条 左の場合には、決定で公訴を棄却しなければならない。
一 第二百七十一条第二項の規定により公訴の提起がその効力を失つたとき。
二 起訴状に記載された事実が真実であつても、何らの罪となるべき事実を包含していないとき。
三 公訴が取り消されたとき。
四 被告人が死亡し、又は被告人たる法人が存続しなくなつたとき。
五 第十条又は第十一条の規定により審判してはならないとき。

つまり、医師たちも生かさない治療の方が簡単だったはずだが、実態解明で生きて欲しいがために「生かす」という選択をして事情聴取や裁判に耐えうる治療を行ったのだ。税金の無駄遣いなどという意見があるが、今後絶対同じような事件を起こさないため、記録を残すため、模倣犯が絶対に発生しないようにする為に税金を使う事は、中長期的に見ればお釣りが返ってくる計算になる可能性が高い。

犯罪を犯す人間の多くは家庭環境に問題がある場合が多い。彼も決して恵まれた家庭環境ではなかったという。だからといって犯罪を犯していいという事にはならないが、家庭環境等の供述が進めば動機や背景を記録に残す事もできる。命の危機を脱したと言われているが、これだけの損傷を負えば長生きできる保証はない。「自力歩行できず逃走の恐れがないのに逮捕させる必要があるのか」という意見が出ているが、その考えも確かにそうであるが法律上逮捕しなければ事が前に進まないのでどのような形であっても逮捕は必要なステップだろう。それから彼は既に生命の危機に関わる重大なケガを負っており、その時点で既に極刑に等しいという声もある。拙速に裁判を進めて拙速に結果を出すぐらいならじっくり時間を掛けて本人の証拠等をじっくり時間を掛けて、ゆくゆくは途中で、というのもシナリオの一つとして考えているのかもしれない。そうなれば必然的に公訴棄却となるが、証言等を十分に集めた上でそうなれば実質的にそれは極刑と同じ事、かつ証言が得られた点ではプラスになるに違いない。