クロ現がまた一つネット上の闇を暴いた。12日の放送で低品質なブログの象徴とされるトレンドブログの運営者に取材したのだ。トレンドブログとは暴力系など話題になりそうなニュースを取ってきては「誰?どこ?住所は?勤務先は?顔画像は?」など興味を煽るようなタイトルばかり掲載、検索上位に君臨し、その内容はニュースの本文が殆どであり独自の文章があるとしても一言程度で、大体最後は「分かりませんでした」で締められており、全体としては全く価値のない内容だ。そもそもこれらの運営者は自分で文章を組み立てて書く能力に欠けている場合が多い。
クロ現の放送では感染症の記事作成画面を撮影し「1次情報にアプローチしようとしないのか」と記者から質問され、運営者は顔をしかめて「個人でやってて時間に限りがありますし1次情報の最先端までやっていくのは個人では難しい」と回答していたが、単刀直入に言って「ふざけるな、退場しろ、サイト閉鎖しろ」という感じだ。お金や時間や手間暇を掛けて本業の給与から持ち出しで真面目にやっている運営者も沢山いるわけで、それらの運営者は個人運営でありながらも空き時間の合間を縫って自分で時間を作って現地に出向いて取材したり、車を走らせて高速乗って首都高乗ったり、電車に乗ったり、飛行機乗ったりして自分の足で歩いて写真や情報等を撮るなどなるべく1次情報に近づく努力をしているのだ。そういう点でブログ全体がそのような目で見られるのは困るので、クロ現も真面目にやっている人も取材して欲しかったものだ。
放送では神戸市のいじめの事件でツイッターで拾っただけの情報をまとめて実名を掲載した件について記者から「判断に迷わなかったか」と質問され「情報に確証、信じられそうな情報があった」と回答していた。特にこのようなセンシティブな事件等においての実名報道は慎重になるべきで、テレビや新聞等が報道していない段階で個人が特定する事は不可能である。それこそ”個人で難しい”のに、なぜこちらには”情報の確証が持てる”のか、まったくもって疑問である。情報に確証という言葉は現場に行ってから口にする言葉であって、現場に行かず自宅でしゃべる言葉ではない。
常磐道のあおり運転で「ガラケー女」として誤った女性を報道したのもトレンドブログだ。無言電話や1,000件を超えるDMが殺到したとして被害に遭った女性は運営者やリツイートした個人等を提訴した。タイトルには「人違いの可能性も」と書いていたが「特定!」というタイトルで書いていた運営者を取材し、「皆アクセス欲しさでやっている」「深く考えずに書いてしまった」とした。このようなアクセス数狙いで低品質な記事を書くのならば即刻閉鎖して頂きたいものだ。その運営者は朝5時にコンビニに行って漫画雑誌を購入、写真を撮影、公開するいわゆるネタバレ記事も書いているようだが、ハッキリ言って著作権的にアウトだ。「写真を使うことは問題ないのか?」と記者が問うと「あいまいというかグレー」と言って違法ではないと否定しつつも無断使用していた画像を削除したようだ。
グーグルの広告配信について、実際に止められた運営者にも取材をしたようで「終わったな」と言っていたが、終わったというより今までの行いが悪かっただけで自業自得としか言いようがない。低品質なコンテンツを配信し続ければ企業のブランドイメージが低下し、ひいては広告出稿をする意味もなくなるからだ。お金を出している広告主の事を考えれば広告主の期待に応えられる高いレベルの記事を作成する事が運営者には強く求められるが、グーグル等の配信業者は運営者への教育を強くは行っていない。グーグルは個別の回答は控えるとしたもののポリシーに違反しているサイトには処分を行うと回答した。これらのサイトは広告が停止されてもドメインパワーは維持されているので、それを利用して結局サイトごと他人に売却されているという闇も報道した。今回報道はされなかったが実際ここ数年で規約が変更され、独自ドメイン義務化、サイトを売却したら再審査が必要に、SNSからの読者には広告を表示しない、SNS経由のアクセスが多いと広告非表示などの対策が進んでいる。
今回報道されてはいないが、低品質ブログも次回は扱っていただきたい。自分で写真を撮影せずフリー素材等を多用して全く取材等をせずに辞書の引用、コピペ、ツイートや動画の貼り付け、薄っぺらい文章の繰り返しのブログの事だ。
番組を最初から最後まで見たが、最後は「マスメディアも個人も情報を発信する責任は同じ」としてブログ運営者に責任を持った情報発信をするよう求めた。NHKがここまで踏み込んだ報道をしたのは異例中の異例で、トレンドブログ(に限らず価値の低いブログ)を運営している運営者はいよいよ終焉の時が近づいているといっても過言ではないだろう。またGoogleによる監視や処分にも限界がある。もはやインフラとなって生活に欠かす事の出来ないグーグル関係のサービスについて、新たな法整備を検討し規制する事が必要なのではないだろうか。
