ファミマ「レンジおでん」開始 常識破壊施策を連発できるワケ

コンビニから「あつあつのおでん」が消えてしまうかもしれない-
ファミマが1月14日から、レンジで温めて提供する「レンジおでん」を販売開始した。販売開始時点で6,000店舗が導入するとしているが、商品ランクが選択になっているので従来の鍋を継続するか、レンジにするかは店舗裁量で自由に選択でき、あくまで発注データに基づくもので実際の展開状況は店舗によって異なる。従来の鍋おでんの課題は過去の記事で述べているが、それらの課題を全て解決する起爆剤となる商品だ。
「鍋継続」「鍋とレンジ並行」「鍋やめてレンジに移行」「両方しない」「昼間は鍋、夜はレンジ」など様々な選択肢を店は自由に選択できる。
早速買おうとして20店舗程度のファミマを回ったが、都会ではなく田舎という立地特性もあってか半分近い店舗では従来型の鍋おでんを引き続き展開していた。ある店舗ではレンジおでん販促物が出ているのに「知らない」「分からない」と断られたグダグダな店もあったが、きちんとやっている店がありそこで購入した。
レンジおでんは売れ筋具材をメインに4個入り(税込268円)と6個入り(税込358円)があるが、玉子やしらたきはレンジで崩れる、あるいは爆発する可能性があるとの事で具材には入っていない。コンビニの常識破壊商材であるレンジおでんとはどのようなものなのか、早速6個入を買ってみた。

これがレンジおでんの販促物であり、これがレジカウンター付近にあればレンジおでんを扱っている店という事になる。店員に「レンジおでん○個入り下さい」と申しつけよう。そうすると店員がパックに入ったおでんを容器に移し替えてレンジで温めてこのような形で出してくれる。あたためも容器も要らないからパックだけ欲しいという客はその分の値引はないがその旨を店員に申しつければ対応してくれる。

容器をアップで撮ってみた。レンジ対応にする為に穴が開いているのが分かるだろう。

こちらはさつま揚げだ。少し分厚いが歯ごたえがあってだしも効いていて鍋おでんと遜色ない美味しさだ。

こちらはちくわと昆布。ちくわは丸々一本ではなく半切となっているが、おでんの雰囲気を味わうには十分だろう。昆布は味が薄めでダイナミックな主張はしてこないが、歯ごたえもあり美味しい。

こんにゃくもレンジ対応にする為に切れ目が多くなっていて鍋おでんの物よりも少し分厚くなっているが、こんにゃく本来の弾力性を感じられる点でなかなか工夫されている。タケノコはおでんではあまり売れない商品であるが、玉子がレンジに対応できないので渋々投入された商品だろう。コリッとした食感は普通のタケノコと何ら変わりはない。

そして最後に定番具材の一つ、大根である。固くなりすぎずほどほどの柔らかさを追求しているのが分かる。そして数口食べて断面を見てもそのみずみずしさは鍋おでんと変わらない。結論「レンジおでんも十分うまい。」という事であり、今後導入店舗が増えていくのは確実だ。
具材未開封状態の賞味期限は180日となっており、常温で保管できるので店舗負担も少なく廃棄金額の大幅な削減に繋がるのは明らかだろう。鍋おでんは廃棄の温床で店員も忌み嫌っている商材であり、これで一日1万円廃棄していたとすれば月30万円、半額本部補助を考慮しても月15万円と店舗の収益が大幅に増えその分をアルバイトの時給アップに使う、品揃え強化に使うなど他チェーンとの競争力強化に使える点で意義は大きい。
一方で客からすれば「好きなのが選べない」「玉子がない」「数が選べない」という意見もあるようで、この販売が好調ならば本部もレンジ対応の玉子を投入するなど次なる一手を打ってくる可能性は十分考えられる。仕事を減らす為のレンジおでんで仕事が増えたら本末転倒だが、客の意見と店の意見を聞きつつ難しい舵取りが求められる。

一部報道で昨年11月に独自にレンジおでんをフライング展開していた店があったが、現在その動画は削除されている。なぜならば容器がレンジ非対応のものを使っていた事、お母さん食堂のおでんは冷蔵保管であり常温保管に対応していない事であり本部から指摘を受けた可能性が高い。もちろん今回本部が発売したレンジおでんは容器もレンジ対応であり具材も常温保管に正式に対応しており、常温保管、入れてる部分を客に見せないオペレーション、「1600Wで1分20秒が最も美味しい」などと主張した部分は本部も参考にしたと思われる。
レンジおでんに対する世論の反応は「食品ロス削減になるならよいのでは」「清潔で衛生面に配慮したおでんが買える」「これでおでんツンツンできないね」などレンジおでんを高く評価する人達が多い。
5年前のファミマでは絶対にあり得なかった施策を次々投入できるワケは、澤田社長の影響が大きい。彼は就任するとすぐに店員と同じ制服を着て店長研修を受け合格し、現場主義に徹した。表向きは「加盟店ファースト」を掲げているが、本音は「コンビニをぶっ壊す」「規則をぶっ壊す」「ルールをぶっ壊す」「常識を疑え」であり社内でも繰り返し吠えてきた。「検品は当たり前」「客層キーは当たり前」「黒髪は当たり前」など、数々の訳分からない規則やコンビニで従来当たり前とされてきた規則やルールの廃止を次々打ち出し加盟店の満足度を上げた。廃止当初は反対の声も多かったようであるが、数年経つと業務を減らして廃止するマインドが高まってきたように思う。客層キーを廃止する為に1年かけて説得し、「頭が切り換えられないなら部署を変われ」とまで発言したとされている。就任当初からコンビニ業界への危機感を抱いて対応に当たってきた訳であるので、東大阪の乱にも余裕で対処できた側面がある。
店員のオペレーション負担軽減のみならず、電気代削減、廃棄ロス、フードロス削減にもつながり環境に優しいレンジおでん。展開している店を探すのがなかなか大変であるが、興味のある人はぜひ食べてみてもらいたい。