アベノミクスといわれる中、全くといっていいほど時給を上げないのがコンビニ業界。
「えっ、あんなにお客さん来てるのに?」なぜ時給を上げられないのか。
理由は大きく分けて3つある。
1 そもそも本部の取り分が大きい
利益の50%前後といわれるチャージ。一般的な売上であれば月300万円程度取っている。本部は経営指導料とかコンサルタント料とかのれん代とか看板代とか色々言ってくるが、そうだとしてもあまりにも高すぎる。
一日に40万円、月1,200万売り上げても月40万円しか儲からないのがコンビニ業界。
本部は「最低賃金でアルバイトを雇用してください」「交通費や社保、有給は想定していないモデル」「廃棄はお客さんのためです。投資です。たくさん出して下さい」と指導している。
つまり法律を守ろうとするとオーナーの出費になるわけだ。
そもそも本部指導員すら労働法の知識がないことが多く、オーナーはいつ労基に摘発されるかひやひや状態で運営している。
よって新店ほど指導が細かく、時給もなかなか上がらないというのが現状。
2 人手不足のための求人費増大
店舗に張り紙しただけでは、どうしても求人力では劣るため、外に向けて発信する必要がある。例えば求人ジャーナルやマイナビなどが例だ。
その求人費用がバカにならず、一回5~10万円かけても誰も来なかったと言うことはザラ。
しかも来ても外国人等レジや接客という業務内容に似合わない人ばかり。夜勤の洗い物だけなら勤まるかもしれないが、はて。
そもそも人手不足になる原因を作っているのはだいたいは店長である事が多く、働きやすい店にしていれば人が辞めることもない。
人がいなくなれば結末は無人コンビニだ。コンビニから「いらっしゃいませ」という声が消える日も近い。
3 人件費はオーナー負担。オーナーもそこそこ儲けたい
本部はオーナーのことを「店長」だとか「社長」だとか「独立した経営者」だとか「個人事業主」ともてはやすが、オーナーの経営における裁量権はないに等しい。
オーナー収益を左右する項目は「人件費」と「廃棄」しかなく、廃棄をゼロに近づけたらあとはどうするかというと人件費を減らすことだ。
自分が入れば良いと言うが、それも限界がある。となると汚い話、”いかに時給を安くして人を雇用するか”
“いかに法律に疎い学生を使って自分の出費を抑えるか” この2点となる。
個人事業主である事を理由に労基が動きづらい盲点を悪用して、全国で法違反ブラックコンビニが蔓延しているのが現状だ。ここは労基署がキッチリと立ち入り調査して是正させる必要があるだろう。
ただし最近の若い人の職場の判断基準は時給でしかない。世の中は需要と供給で成り立っているので、例えば飲食業など地域の相場よりも低い時給を提示したならば「辞めます」の連呼になり、やがては店長が24時間レジを打たなければいけなくなる。自分の儲けばかりを優先していると、結果的に自分に跳ね返ってくるのだ。
コンビニが最低賃金である理由は「人件費はオーナー全額負担である」「上げなくても人が来る」というのが大きいだろう。これは本部が人件費負担をしてしまうと加盟店の労基法違反が本部にも被さってくるからだ。
あなたの家でも、他人にお金を払うことに関してはシビアにならざるを得ないはずだ。
家計の見直しなどと言って習い事や保険などを見直すのがそれに当たる。
コンビニの人件費もそれと同じ要領でいかにケチるかしか考えていないが、それでは業界の終焉は近いだろう。
コンビニの賃金体系の見直しが、早急に求められている。
