セブンイレブンから始まったコンビニの挽き立てコーヒー。
100円でコーヒーが飲めると今ではコンビニ各社が熾烈に競争を繰り広げていますが、
まず100円という設定は無理があり、売れば売るほど赤字です。
なぜ赤字になるのか、詳しく説明します。
あるチェーンの価格表です。(およその数値としてご覧ください)
ミルク:19円
ストロー:1円
マドラー:2円
ふた:3円
ガムシロ2個:8円
豆:28円
コーヒーフレッシュ2個:4円
シュガー1個:2円
カップホルダー2個入り:10円
また通常の商品と異なり、客がセルフでマドラーやガムシロなどを加えることができます。
今回は、ホットコーヒーにはストロー(1円)、マドラー(2円)、ふた(3円)、シュガー1個(2円)、フレッシュ1個(2円)の10円を使うこととし、
アイスコーヒーにはストロー(1円)、マドラー(2円)、ふた(3円)、フレッシュ2個(4円)、ガムシロ2個(8円)の18円を使うこととし、
カフェラテの場合はフレッシュを入れないこととし14円とします。
原価にかかる本部指導料(チャージ)は、ここでは一律50%とします。
試算した結果、以下のようになりました。
ホットS 原価:89 チャージ:44 豆:28 他:10 利益:7
アイスS 原価:70 チャージ:35 豆:28 他:18 利益:-11
ホットM 原価:138 チャージ:69 豆:28 他:10 利益:31
アイスカフェラテ 原価:135 チャージ:67 豆:28 ミルク:19 他:14 利益:7
わかりづらいので、イラストにしてみました。適当ですがお許しください。
利益7円のものを2個買ってカップホルダー(10円)に入れた場合、せっかくの利益が吹き飛び14円→4円になります。
またアイスSを2個買ってカップホルダーに入れた場合、赤字がさらにひどくなり-22円→-32円になります。
また、コンビニ店員の人件費を以下のように定義します。
カップや氷の陳列・整理作業 1日30分 500円
マシンの清掃作業 1日30分 500円
日々のクリーニングの消耗品代 1日50円
とすると、1日に必要な利益は1,050円となり、利益が7円しかないアイスカフェラテだけを売った場合、1日150杯売る必要があります。
逆に冬場はホットMだけを売ると1日33杯になるので比較的楽に元を取れます。
マシンの減価償却代金やマシンの修理代金は、チャージに含まれている物とし、ここでは計算しません。
また水の代金や浄水器のカードリッジ代金も、同様に試算不能なため含めていません。
このようにSサイズで客寄せしている現状に納得頂けましたでしょうか。
コンビニ各社がコーヒーに加えてドーナツやパンを押し売りするのも、Sサイズの赤字を補うためでしょう。
皆さんが美味しく飲んでいる挽き立てコーヒーの半分は本部に上納されるチャージと考えると、なんだかやるせない気分になりますね。
※売価-原価の差額は、カップ代および氷代かと思われます
お店を潰したくなければ、なるべくMサイズを買うようにしましょう。
そしてマドラーやストローなどは客の善意に任されてはいますが、たまにごそっと持ち帰る人も見かけます。必要以上に取りすぎないようにしましょう。
今回は必要な物はすべて組み込んで計算しましたが、本部が挽き立てコーヒーを導入した時このような試算をしていたかどうかは疑われるところです。
